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「店員はちゃんと気付いてます」

――アパレルショップで働いていた頃、毎年お店にやってくる「万引き親子」がいた……というお話です。

山本: 一年で一番お店が混みあうのが1月2日の初売りセールなんですが、その少し前の時期に、必ず“下見”にやってくるんですね。それでセール当日、混み合っている店内の隙を見て試着室に商品を持ち込み、そのまま持ち帰ってしまうんです。

――分かっていても捕まえられないものなんでしょうか?

 私が働いていたお店が百貨店の中に入っていた、というのもあると思うんですけど。商品を持ってお店を出た後も、まだ「百貨店の中」なので、すぐに捕まえるようなことはできなかったんです。お客さまを疑って勘違いだったらすごいクレームになるし、基本的には「予防する」「盗ませない」ことしかできませんでした。

――それはなんというか、うっぷんがたまりそうですね。

 漫画にも描いたんですけど、福袋を持って外にダッシュする人とかもいるんですよ。でも捕まえられない。「レジの場所を間違えたお客さま」として対応するしかないから、追いかけて「レジこちらですよー」と声掛けするしかなくて。

――万引き親子には万全のフォーメーションで臨んだそうですが、結局意外なものを持っていかれてしまいましたね。

 あれも同じで、お店の売り物ではなかったので、「あら、自由に持っていっていいものだと思ってたわ~?」と居直られたらどうしようもなかったと思います。

 でも、店員はあやしい人の動きにはちゃんと気付いているし、盗まれたことも分かっているので。何度も繰り返している“常連”が来たら警備員に通報したりもしますし、「いつか捕まるよ」ということは言っておきたいです。

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