近畿地方のある場所について
『近畿地方のある場所について』は、オカルト雑誌のライターと新人編集者が一見無関係に思える奇怪な出来事やネット情報などをまとめるうちに、ある不気味な共通点に気づくというストーリー。謎が解けていくと同時に、気持ち悪さと新たな謎が浮かび上がってきます。
本では伏字になっている「近畿地方のある場所」の名称が、オーディブルでは「ピー」という規制音で表現されており、そのことがいっそう恐怖心と想像力をかき立ててくれます。また、作中に登場する資料も聞きながら閲覧できるので、まるで登場人物のひとりになった気分も味わえて、本当に怖かったです。
天使の囀り
『黒い家』や『青の炎』で知られる作家・貴志祐介さんのホラー小説『天使の囀り』。アマゾン調査隊に参加した恋人やほかのメンバーたちが、次々に奇怪な方法で自殺してしまったことから、その死の真相を追う精神科医の物語です。
物語が進むにつれて「気持ち悪さ」が際立ってくる作品です。小説そのものも魅力はもちろん、乃神亜衣子さんのナレーションも抜群でした。作中に登場するクモやとある虫をめぐる描写が本当に恐ろしかったです。何度か停止ボタンを押して耳の中を確かめながら聞いていました。
ずうのめ人形
『ずうのめ人形』は『ぼぎわんが、来る』から誕生した比嘉姉妹シリーズ第2弾の作品です。呪いの原稿から迫りくる死を回避するため、オカルト雑誌の編集者・藤間と霊能力者たちが呪いの謎を解くというストーリー。
澤村伊智さんの作品は大好きですが、中でもオーディブルで一番震えたのがこちらです。現在進行形の物語と過去の物語が並行して語られる構成で、それらが交差したときの驚きや、それまでのイメージが覆っていく感覚は絶妙です。ナレーターの安斉一博さんの演技も素晴らしく、登場人物の恐怖や苦悶に満ちた表情が目に浮かびます。最終章でとある人物がくだす決断が恐ろしく、「呪いとは何か」と考えさせられました。
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