「マスクを外すべき」なのはどんなとき? 危険な「マスク熱中症」を防ぐためにできること
猛烈な暑さが続く中、熱中症の疑いで病院に搬送される人数が急増しています。8月3日~9日の搬送数は6664人と、前週の約2倍となりました。
その原因の一つとしては、気温が高い屋外でもマスクを着用し続ける人が多いことが挙げられています。危険な「マスク熱中症」を防ぐためにできることを、厚生労働省や専門家のツイートなどを中心にまとめました。
「マスクの着けっぱなし」で起こること
厚生労働省は公式Twitterアカウントで、繰り返し「熱中症を防ぐためにマスクを外しましょう」という注意喚起を行っています。
高温多湿の環境下でマスクを着用すると、皮膚からの放熱の妨げとなり、口元の温度が3度上がるという報告もあります。また、保湿効果によって喉の渇きを感じにくくなるというデメリットもあり、これらが熱中症のリスクを大きく高めます。
マスクを外すべき基準は?
マスクを外すべき基準としては、「屋外で他の人との距離が2メートル以上確保できていること」が挙げられます。このような状況では、感染リスクよりも熱中症リスクを下げることを重視し、小まめにマスクを外すことが推奨されています。
特に、暑さや喉の渇きを感じにくい高齢者や、自分の体調をうまく伝えられない乳幼児には注意が必要です。加えて「喉が渇いていなくても水分補給をする」「顔色や汗のかき方に注意する」「激しい運動を避ける」などのポイントを守ることが熱中症予防につながります。
2歳未満の子どもには、そもそもマスクを着用させること自体を避けるべきという指摘もあります。日本小児科医会は、「2歳未満の子どもにマスクは不要、むしろ危険!」という資料の中で、乳児は気道が狭いためマスクによって呼吸がしにくくなることや、心臓への負担になることをその理由として挙げています。
それでもマスクが必要なときには
人が密集した環境など、それでもマスクが必要なときにはどんなことに気を付けたらよいのでしょうか。
できるだけ熱をこもらせないためには、各社が販売している通気性を高めた夏用マスクや接触冷感マスクを使うという方法があります。ただし、通気性の高さによって感染防止効果が低下する場合もあり、製品選びには注意が必要です。また、近年よく見かけるようになった黒マスクは太陽光の吸収性が高く、熱がこもるため、夏場は避けた方が良いでしょう。
さらに重要な点として、「安全な環境下でマスクを外すことを問題視しない」ということがあります。ヤマト運輸や日本郵便は、6月の時点で「配達時には周囲の状況次第でマスクを外して業務を行うことがある」という発表をしています。「適切にマスクを外す」ことは、熱中症予防のために必要な行動であるという認識が十分に周知される必要があります。
「新しい行動様式」との両立を
マスクの着用やソーシャルディスタンスなどの「新しい行動様式」と、熱中症予防のためにできる「マスクの着け外し」や「小まめな水分補給」は両立可能です。まだまだ猛暑が続く日々の中、自身や周囲の安全を高める行動を心がけましょう。
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