意外と知られていない「賞味期限」と「消費期限」の違い

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 黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。ゲストは食品ロス問題ジャーナリストの井出留美。食材の賞味期限や消費期限などの注意点について—

賞味期限 / 消費期限(出典:ニッポン放送「あさナビ」)
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解説

黒木)日本で発生している食品ロスの内、およそ半分は家庭で捨てられているということですが、食べられる野菜の部分も捨ててしまうとか、コロナ禍で買い過ぎてしまうというようなこと以外には、どのようなことがあるのですか?

井出)賞味期限は、「品質が切れる期限」ではありません。「美味しく食べられる目安」ということだけなのですが、数字だけを見て、過ぎていたら捨ててしまうということがあります。すごく象徴的なのが卵で、卵は10度以下で保存していれば、卵が生まれてから57日間は生で食べることができます。

黒木)冷蔵庫で保存すれば。

井出)しかし、スーパーやコンビニで売っている卵のパックは、2週間で切ってしまっているのです。

黒木)そうなのですね。

井出)昭和20年代から養鶏農家を営まれている方に聞いたところ、かつて、卵は乾物屋さんで売っていて、冬になるとお歳暮としても扱われて相場が上がるため、その時点で出して売っていたというぐらいのものなのです。

賞味期限
賞味期限(出典:ニッポン放送「あさナビ」)

黒木)井手さんは、『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』という本を幻冬社から出されていますが、この賞味期限は「美味しく食べられる期間」で、どれくらいまで食べられるのですか?

井出)2割増しぐらいは食べられます。10ヵ月美味しく食べられるカップラーメンがあるとします。すると、企業は10ヵ月のところでは日にちを書きません。直射日光に晒されたり、買った方の車のトランクに夏場に置きっぱなしになっていたりなど、工場を出るまでは企業側で管理できても、その後はいろいろなリスクが発生します。そのようなリスクを考えて、賞味期限を短く設定するのです。例えば、0.8を掛けたら10ヵ月が8ヵ月になります。

黒木)よく製造月日が書かれているものもありますよね。

井出)ときどきありますね。1980年ぐらいまでは製造年月日ぐらいしか書かれていませんでした。それが1980年代になって「期限表示」という、ややこしいものが発生したのです。

消費期限
消費期限(出典:ニッポン放送「あさナビ」)

黒木)賞味期限の他に「消費期限」というものがあります。この消費期限についてはどのように考えればいいのでしょうか?

井出)品質が急激に下がってしまうような、5日以内の日持ちのものに表示されるのが消費期限です。具体的には、お弁当やお惣菜、おにぎりやサンドウィッチ、生クリームのケーキや刺身などです。そのような、いかにも品質が持たなそうなものは、注意して守った方がいいです。

黒木)防災グッズのなかに、賞味期限が書いてある乾パンのようなものがありますが、「期限が終わっている」と捨ててしまうことがあります。それも考え方を変えた方がいいのですね。

井出)変えた方がいいです。いま、農林水産省や消費者庁も備蓄の賞味期限を過ぎた缶詰を寄付するようになりました。

井出留美(いで・るみ)/ 食品ロス問題ジャーナリスト
■株式会社office 3.11代表取締役。
■奈良女子大学食物学科卒。博士(栄養学/女子栄養大学大学院)修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。
■ライオン、青年海外協力隊を経て、日本ケロッグ広報室長などを歴任。
■東日本大震災での食料支援で食料廃棄に衝撃を受け、自らの誕生日であり、東日本大震災の発生日でもある3月11日を冠した「(株)office3.11」を設立。食品ロスの問題を訴え、2019年施行の「食品ロス削減推進法」成立に協力。
■政府・企業・国際機関・研究機関のリーダーによる世界的連合Champions12.3メンバー。
■食品ロスを全国的に注目されるレベルまで引き上げたとして、第二回食生活ジャーナリスト大賞食文化部門、Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018、令和2年度 食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞を受賞。
■著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』『捨てられる食べものたち 食品ロス問題がわかる本』など。

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番組情報

ENEOSプレゼンツ あさナビ
毎週月曜〜金曜 6:43 – 6:49番組HP
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

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