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なぜ近年「フィルムカメラ」が注目されるのか? モノクロフィルム専門店・店長が語る

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 最近、街に写真屋さんを見かけなくなりました。以前はフィルムをお店に持って行って、2~3日後に仕上がった写真を楽しみに見たものです。

「THE BASE POINT」店長・神谷龍樹さん
(イギリス製のモノクロフィルムと印画紙がお店の主力商品)

 なかには、「あれ、ピンボケしてる」「目をつぶってる」とか、「1枚も撮れていない!」という失敗なども、よくありましたよね。 

 手間がかかるフィルムカメラですが、重たい一眼レフを首に下げ、街歩きしながら被写体を探し、ファインダーを覗き、ピントと露出を合わせる。「ガシャッ」とシャッターを切り、「ギギギギギ」とフィルムを巻き上げる……近ごろは、そんな手間が若い人たちにとっては新しく、年配の方には懐かしいのだそうです。

「THE BASE POINT」入口

 JR神田駅・南口から歩いて2分。日本橋に向かう「中央通り」に面したビルの1階に、「THE BASE POINT(ザ・ベース・ポイント)」というお店があります。

 ここはモノクロフィルムを専門に扱うお店で、印画紙や現像用品、薬品など、昔ながらの「銀塩モノクロ写真」の関連商品を販売しています。お店の奥には「レンタル暗室」があり、お店の半分は「ギャラリー」で、プロアマ関係なく写真展が開けるスペースにもなっています。

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ショップ、暗室、ギャラリー……この3つの機能を持ったお店は、とても珍しい

 「ショップ、暗室、ギャラリー……この3つの機能を持ったお店は、とても珍しいと思いますよ」と話すのは、店長の神谷龍樹さん・37歳。

 大学では芸術系の学科を専攻し、舞台芸術のマネジメント会社に就職。その後、「違う仕事をしてみたい」と思っていたところ、縁あって「レンタル暗室」の仕事に携わります。

レンタル暗室

 神谷さんがいた「レンタル暗室」は、大きな暗室のなかで数人のお客さんが、暗室の道具や薬品をシェアしながらプリント作業を行う、いわゆる貸しスペースです。「レンタル暗室」で神谷さんはいろいろな人に出会います。

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あえて手間をかけて家族写真をアルバムに残したい……

 「私は、仕上げの水洗いと乾燥をサポートする業務を主にしていて、出来上がった写真をお客さんにお渡ししていました。お客さんのなかに、2週間に一度のペースで、出勤前に暗室を利用するサラリーマンがいました。そのお客さんは家族の写真をプリントしていたんですが、ヨチヨチ歩きの子どもが、どんどん大きくなっていくんですよ。写真をお渡しすると、大事そうにその場でアルバムへ1枚1枚しまっていくんです。そのとき、『このお父さんは、あえて手間をかけて家族写真をアルバムに残したいんだ……』と思いました」

中古の一眼レフカメラも販売

 他にも、心に残る女性のお客さんが2人いました。1人は、必ず毎週木曜日に風景写真をプリントしに来るお客さんです。話を聞くと、写真展や写真集を出す目的があるわけでもなく、どうして毎週来るのか、神谷さんは不思議でなりません。

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暗室は心が癒やされる場所

 もう1人のお客さんは妊娠中で、来るたびにお腹が大きくなっていく。しまいには「ふぅ、ふぅ」と言いながら、ちょっとつらそうに見えるくらいでした。「なぜ、こんなに大変な思いをしてまで来るんだろう?」と、神谷さんは首を傾げます。

 あるとき、神谷さんは2人の表情を見て、「そうか!」と気づきます。 

 「暗室のなかでは、2人ともすごく楽しそうなんです。この2人にとって暗室で作業しているときは、自分を解放している時間なんだ。ここは自分の好みを追求できるし、心が癒される場所でもあるんだ、とわかったんです」

レンタル暗室の引き伸ばし機

 「人がよりよく生きる方法の1つとして、こういう場所は必要なんだ」と思っていた神谷さんに、「うちの会社に来ませんか?」と声がかかります。モノクロフィルムや印画紙の輸入販売をしている「サイバーグラフィックス」という会社の社長さんから、「今度ショップを開きたいので、店長になって欲しい」と強く要望されます。

 神谷さんはショップの立ち上げに加わり、2020年6月1日に「THE BASE POINT」の店長になりました。

 「写真に特別関心があったわけではないんですよ」と言う神谷さんですが、いまではフィルムカメラで写真を撮り、自分でフィルムを現像・プリントし、レジの横にその作品を飾っています。さらに初心者向けの「暗室プリント講習」を開き、その講師も務めています。

壁に飾った神谷さんの作品

 神谷さんに、「フィルムのよさは?」と尋ねてみました。

 「温もりのような『手触り』を感じるところでしょうか。それから、簡単に撮れないのもフィルムの面白さだと思うんです。失敗が思わぬ発見になることもあって、『このボケた感じが案外いいから、次はわざとピンボケで撮ってみよう』とか……。そうした偶然もあるし、だんだん撮影技術がうまくなっていくのを実感できるのも、フィルムのよさですね」

 「THE BASE POINT」がオープンして、もうすぐ2年。この店は、フィルムカメラを愛する人たちの秘密基地になっています。

THE BASE POINT(ザ・ベース・ポイント)

住所:東京都千代田区鍛冶町1-7-11 KCAビル1階
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
電話:03-6260-9312
Email:info@thebasepoint.jp
ホームページ:http://www.thebasepoint.jp

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