第9回 Google Glassで本と音楽のマリアージュを知る 代官山 蔦屋書店の「カルチュア・マリアージュ」“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)

メガネ型のウェアラブルデバイスは、まだ明確な用途が確立していない領域だが、1つの興味深い例として、カルチュア・コンビニエンス・クラブが代官山 蔦屋書店で実施している「カルチュア・マリアージュ」がある。書籍と音楽のマリアージュにGoogle Glassを用いているのだ。

» 2014年12月21日 08時30分 公開
[松村太郎ITmedia]

 マリアージュとは、フランス語で「結婚」という意味の言葉だが、別々の2つのものが調和した1つの組み合わせになる、という意味でも頻繁に使われる。例えば、ワインとチーズ、肉とソース、コーヒーとチョコレートの組み合わせもマリアージュと言われる。

 今回ご紹介するマリアージュは、メディアだ。

 代官山 蔦屋書店で12月18日からスタートした「カルチュア・マリアージュ」の取り組みは、その人が手にした書籍と、それに最適な音楽の組み合わせを知ることができる。組み合わせを司るのは、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が集める個人の傾向データ。そしてインターフェイスとしてのGoogle Glassだった。

カルチュア・マリアージュ 12月25日まで代官山 蔦屋書店で体験できるカルチュア・マリアージュ

ビッグデータを生活者が活用する

 代官山 蔦屋書店でGoogle Glassを活用し、その人が手にした本に最適な音楽を合わせて紹介する。この取り組みは、CCCが集めるビッグデータの活用を、顧客に体験してもらう試みの一環として企画されたものだ。

 CCCでこのプロジェクトのプロデュースを行っているマーケティングカンパニー マーケティングソリューション事業部の山崎史郎氏は「これまで企業のマーケティング支援のために顧客の購買履歴を活用することが多かったが、これでは生活者からみて、ビッグデータがどう活用できるのか分かりにくい」と問題点を指摘する。

山崎史郎氏 カルチュア・コンビニエンス・クラブ マーケティングカンパニー マーケティングソリューション事業部の山崎史郎氏

 CCCは、Tカードの購買履歴データを活用したコンサルティング事業を行っている。

例えば飲料メーカーなどの新商品の市場開拓やターゲットの選定、あるいは米国の宿泊場所のマッチングサービスであるAirBnBの販売促進企画などにも活用されてきた。ところが、生活者にとって、これらのデータ活用はあくまで間接的なものに留まっており、理解が進まない一因でもあった。

 この課題を解決する取り組みで、Google Glassを活用しようというアイディアを大広が提案。そして実現したのが、今回の「カルチュア・マリアージュ」だ。

 「Tカードの会員は約5000万人いて、その人たちの生活属性や家族構成、モノの買い方、志向性を予測した『傾向データ』というものがあります。これをもとに、どんな本を好むかを予測して提案し、その書籍を選んでいる人の音楽の志向を活用することで、書籍+音楽の組み合わせを提案します」(山崎氏)

 実際、代官山 蔦屋書店には各コーナーにコンシェルジュを置いており、書籍の提案はすでに実現している。しかし今回の取り組みでは、Google Glassを通じてバーチャルに体験し、本と音楽の説明を同時に音声で受ける事ができる仕組みを構築した。

手に取るだけで表紙をスキャン、音楽を聴きながら解説

 Google Glassを活用したカルチュア・マリアージュを実際に体験してみると、非常にシンプルなアプリケーションで「本屋の空間を楽しむ」という体験にアドオンする心地よさを感じることができた。

 Google Glassで専用アプリを起動すると、本をスキャンするモードになる。Google Glassの通常のカメラ撮影機能では、撮影する範囲をプレビューするが、あえてこの機能は解除したという。ユーザーは本の表紙を一生懸命フレームに合わせたりする必要はなく、手に取ればちゃんと認識する。

 Google Glassの自然な視線で十分スキャンすることができるため、人の動作も自然に本を取れば良いよう調整している。ちなみに、代官山 蔦屋書店は雰囲気のある書店で、カルチュア・マリアージュの体験コーナーはやや照明が落としてあるため、特徴点のみを認識するアルゴリズムを活用している。

カルチュア・マリアージュ Google Glassをタップすると、認識された書籍とマッチングする音楽の情報がウィッシュリストに登録できる

 スキャンできると、画面の中には書籍が表示されると同時に解説の読み上げがスタート。さらにBGMとして、マッチングした音楽が流れ始める。画面には本と音楽のマッチングレベルが表示される。

 そしてGoogle Glassをタップすると、手に取った本と、マッチングした音楽の両方を、TSUTAYAのオンラインストアのウィッシュリストに登録することができる。もちろん、店舗での購買、オンラインストアでの購買ともに解析することができるため、おすすめした本や音楽がその後購入されたかどうかも、効果測定として確認できるできるそうだ。

 山崎氏は、予測モデルを利用するところに、ひと工夫があるという。

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