ドライブレコーダーに使えるアクションカム「Graava」発表 自転車事故の経験から構想“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)

» 2015年08月09日 06時30分 公開
[松村太郎ITmedia]
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創業者のブルーノ氏のストーリー

 Graavaでは、人の記憶に残りやすいシーンを、センサーやビデオ解析を使って抽出するしくみと説明している。

 日本のHDDレコーダーでも以前から、スポーツ中継で、アナウンサーの人の声の高まりや歓声の大きさなどからダイジェストを自動生成する機能が搭載されていたように、音声だけでも見るべきシーンを割り出すことがある程度できる。

 Graavaはシリコンケースに入れてヘルメットに取り付けるなどして身に着けることができるため、場所や動きの検出といった、身につけているデバイスならではの情報までも利用できるようになったのだ。

 創業者のブルーノ・グレゴリー氏は、筆者も住むバークレーでサイクリングを楽しんでいる際、自転車事故に遭い、しかもその車はそのままその場から走り去った。幸い、一緒に走っていた2人は命に別状はなかった。

 その一部始終を撮影していたのが、自転車のハンドルに装着していたアクションカムだった。映像にはぶつかってきたホンダの黒いインテグラがはっきりと映っており、ナンバープレートの解読から、犯人はつかまったという。ビデオはYouTubeにアップロードされており、すでに55万再生を越えている。

Graava 創業者の体験がGraavaの起業と開発につながった
グレゴリー氏のアクションカムで撮影された事故の様子

 グレゴリー氏は、一連の体験から、重要なシーンをすぐに見つけ出してくれるスマートカメラが、人々の暮らしに役立つのではないか、としてGraavaの起業と製品の発表にこぎ着けたのだった。

重要なポイントを抽出できるカメラの可能性

 我々はスマートフォンやデジタルカメラなど、ほぼ必ずカメラを持ち歩く生活をするようになった。特にスマートフォンは常に持ち歩いていてすぐに起動し、また撮りためた写真を手軽に楽しむ事ができ、写真の楽しみ方を根本的に変えてくれた。

 同時に、撮影した写真はスマートフォンに入っている他のアプリで利用することができる。写真を共有するアプリやSNSはもちろん、写真を使った診断系のアプリや、文書のスキャンなど、その活用範囲は拡がっている。

 しかしビデオは難問だ。写真共有やビデオ共有のアプリでは、あまり長いビデオは共有しにくいとして、Vineは6秒、Instagramは15秒といった短い時間のビデオを共有する「型」を作り出している。

 もちろん撮影したビデオからこれらの秒数を切り出すこともできるが、その場で撮影した方が手っ取り早いのも事実だ。一方で、旅行や子どもなど、数分のビデオを撮影してあることもあり、これらのビデオをどのように活用すれば良いのか、という問題は解決されてこなかった。

 例えば、筆者が使っているビデオ編集アプリ「Replay」は、ビデオや写真を並べてテーマを選び、大まかな長さを選択すると、自動的にシーンを切り取って編集してくれるアプリだ。編集はしなければならないが、その手間を極限まで減らすことができ、重宝している。

 そしてGraavaは、そもそも編集する必要をなくしてしまうという、もう一歩進んだアイデアといえる。身に着けることができるアクションカムは撮りっぱなしが多いことから、数時間から数分への編集は、アクションカムの活用機会が大幅に増えるのではないか、と考えられる。

 Graavaは9月1日までにオーダーすれば150ドル割引された249ドルで手に入れることができる。

 ただ、Graavaと同じようなセンサーを備えるスマートフォンでも、同様の記録が可能ではないか、と思う。ぜひカメラが発売されて程なくしてから、Graava本体での撮影と同じように、自動編集機能を備える動画撮影アプリもリリースしてほしいものだ。

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