肌への影響があるブルーライト! 対策の必要は?
スマホ、PC利用で注意したいブルーライト。肌への影響が確認されていますが、実際のところ、紫外線のように対策する必要はあるのかを皮膚科医に聞きました。
ブルーライトといえば、一時期、睡眠や目の網膜に悪影響を与えることから、大いに話題に上りました。今ではブルーライトカットフィルムやメガネを使用することは一般的になっています。
そして近年、有名コスメブランドがブルーライト対策コスメを次々と発表するなど、肌老化をもたらすことについても関心が高まっています。紫外線対策と同じように、ブルーライトにも対策をすべきなのでしょうか。皮膚科医の蘇原しのぶ先生(しのぶ皮膚科院長)に伺いました。
取材協力:蘇原しのぶ先生
東海大学医学部卒業後、北里大学皮膚科、獨協大学皮膚科を経て、白斑専門の新宿皮フ科副院長。2016年にしのぶ皮膚科開業。皮膚科・皮膚外科歴13年。ヒアルロン酸、ボトックスマスター認定医、日本アンチエイジング外科・美容再生研究会認定医。オールアバウト美と健康のガイドでもあり、「スッキリ」「この差って何ですか?」等のメディア活動も精力的にこなしている。
http://shinobu-skincareclinic.jp/
ブルーライトで肌老化が起こる原因
「人の肌老化には(1)光老化、(2)細胞の老化(ハリの減少)、(3)重力によるたるみ、の3つの原因があるといわれています。ブルーライトは紫外線と同じように、1つめの光老化の原因になります。紫外線は波長が長い順にUV-A、UV-B、UV-Cがありますが、UV-Aの隣にあるのがブルーライトです。紫外線とは光の波長が異なるだけで、同じように肌へと影響をもたらします」
【波長比較】
- ブルーライト380〜500nm
- UV-A:315〜400nm
- UV-B:280〜315nm
- UV-C:100〜280nm
しのぶ先生によれば、ブルーライトはUV-Aなどの紫外線よりも肌への影響が大きいのだといいます。
「ブルーライトは紫外線よりも波長が長いため、皮膚の奥の『真皮』というより深い層まで入ることで、やがて色素沈着を引き起こし、シミやくすみにつながります。また光は熱ですから、乾燥を引き起こすこともあります。肌への影響を考えるのであれば、紫外線対策とともにブルーライト対策もしたほうがいいでしょう」
【ブルーライトによる肌老化の要因】
- ブルーライトの光が皮膚の奥の「真皮層」に入り込むと、肌を守るためにメラニンが活性化し、色素沈着を引き起こすことでシミ・くすみの原因に。
- ブルーライトの光の熱で肌の水分が奪われ、乾燥する原因に。
- 睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌がストップしてしまうため、眠りに支障が出て肌へと悪影響に。(肌は寝ている間に再生されるため)
自分でできるブルーライト肌対策
では実際にブルーライトから肌を守るための対策を行う場合、どのような方法があるのでしょうか。しのぶ先生によれば、大きく分けて次の2つのアプローチがあるといます。
1. グッズでブルーライトをカットする
「ブルーライトをカットするフィルムや眼鏡などのグッズを、PC、スマートフォン、テレビなどを閲覧時に使用して防御する方法です。スマートフォンアプリや化粧品などもあります」
2. 光の照度を下げる・光を浴びる機会を減らす
「特にブルーライトが強いといわれるスマートフォンやPCの画面の光の照度を下げることや、そもそも利用頻度を減らす、距離を置く、寝る前に使用しないことも対策になります」
ところで皮膚科では、ブルーライトから肌を守るための指導などは行っているのでしょうか。
「美容に関心の高い患者さんなどから質問があった際に、アドバイスをしています。保険診療では日焼け止めを処方することは認められていないため、直接、薬を出すことはありません」
ブルーライトによる肌対策は必要?
しかし紫外線と違い、ブルーライト対策にはまだまだ関心の高い人は少ないものです。そもそも、肌を健やかに保ちたいと願う一般的な女性にとって、対策の必要はあるのでしょうか。
「紫外線と同じように、ブルーライトによる肌への影響も、すぐに表面化するものではありません。シミやくすみは、明日すぐに出るわけではなく、日々積まれていって生じるものです。このように、すぐ出てこないからこそ、紫外線やブルーライト対策は重要だと思います」
「将来、『あのときスマホを毎日見ていたからかもしれない』と思う日が来るかもしれません。シミやくすみの原因はブルーライトだけではありません。紫外線の影響ももちろんあります。ブルーライトからの影響は意外と多いのだと認識したうえで、肌の老化予防として、紫外線対策に加えて、ブルーライト対策もするというのがいいかもしれませんね」
スマホやPCなどを毎日、長時間利用している人にとって、今や、紫外線対策だけでは不十分という事実は確かなことです。将来の肌が気になるのであれば、ブルーライト対策のことも意識すると良いようです。
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