バーチャル空間で戦艦大和に乗る――VRの祭典「OcuFes 2015夏」リポート

バーチャル戦艦大和に乗ったり、女の子をバーチャル歯磨きしたり。バーチャルリアリティ(VR)クリエイターが集まるイベントでさまざまなVRコンテンツを見てきました。

» 2015年08月27日 18時03分 公開
[松岡洋ねとらぼ]

 VR(バーチャルリアリティ)ゴーグル「Oculus Rift」向けなどのコンテンツを制作するVRクリエイターが一堂に会する「Oculus Festival(OcuFes)」が8月24日、ベルサール秋葉原にて「アキバ大好き祭り」併催イベントとして開催されました。

OcuFes 2015夏

 OcuFesは500平方メートルの会場を13歳以上のR13ゾーン、全年齢ゾーン、実験ゾーンに分けて開催。平日にもかかわらず、体験待ちの人たちで終日混み合いました。展示されたVRソフトは約50種で、その中からいくつか紹介しましょう。

 クラウドファンディングで資金を調達した「戦艦大和バーチャルリアリティ復元計画」(関連記事)では、開発中のバーチャル戦艦大和の甲板をOculus Riftで体験することができます。現在は艦首から艦橋の下までの半分を自由に歩き回ることが可能。このあとさらに8カ月ほどかけて完成させるとのことです。実際に体験しましたが、甲板から見上げる艦橋は40メートル近いため、例えるならお台場に立つ実物大ガンダム像(18メートル)が2つ縦に重なったところを見上げるような巨大さに圧倒されました。

戦艦大和バーチャルリアリティ復元計画

 VRコンテンツでは、身体を現実から隔離させることでより没入感が増すため、リクライニングシートに座って足を浮かせる展示も複数見られました。

リクライニングシートで没入感を高める

 HOME360の展示はイスに低音スピーカーを組み込んでおり、花火大会を河原に寝っ転がって体全体で体験するような没入感が得られます。

バーチャルで花火大会を体験

 「VRで女の子の歯を磨く」体験(関連記事)では右手に持った歯ブラシのマーカーをカメラで認識し、仮想空間で歯ブラシとして表示し、UNITYちゃん(ゲームエンジンUNITYのマスコットキャラ)の歯を磨きます。さらに触覚フィードバックにより磨いた感触が右手に返ってくるという、とてもフェティッシュな体験ができるのです。

UNITYちゃんを歯磨きする様子

 指の動きでスマホや家電を操作できる指輪型デバイス「Ring」(関連記事)も、iOSやAndroidと連携するデモを展示していました。Samsungのゴーグル「GearVR」向けのシューティングゲームのポインティングデバイスとして展示しており、ソフトウェア開発キット(SDK)も近々公開とのこと。

指輪型操作デバイス×VR

 初音ミクVRライブ「Shake it!」は、さすがに人気者のミクさんだけあって、体験者の列が途切れませんでした。

VRで初音ミクのライブを体験

 Oculusでは、若年者の視覚に影響を及ぼす可能性があるとして、体験年齢を13歳以上と規定しています。年齢制限のない全年齢ゾーンではほかの簡易VR装置の「ハコスコ」などが展示されていました。

全年齢ゾーン
ダンボールを使った簡易型VR装置「ハコスコ」

 実験ゾーンは、VRの可能性を探る実験的な作品が展示されています。「抱きしめ ちゅーんちゃん」コーナーでは、膝に乗った「Tuneちゃん」(協賛社G-TUNEの公式キャラ)を抱きしめるという、「ああ、日本はまたやってしまったか」的な体験ができます。さすがに人に見られながらの体験は酷ということで簡易テントの中に入っての展示でした。

実験ゾーンにはアダルトゲーム「カスタムメイド3D2」も
抱きしめ ちゅーんちゃん

 これまでVR乗馬体験などを考案してきた手妻師(江戸古典奇術)の藤山晃太郎さんは、ホラー世界をVRで体験する“VRサウンドノベル”を披露。エアーコンプレッサーで物語の進行に応じて空気を噴出させる演出を用い、体験者の反応に手応えを得ていたようです。

VRサウンドノベル

 会場には協賛のAMDも最新グラフィックスカード「Radeon FuryX」を持ち込み、Oculusの試作モデル「Crecent bay」での性能を披露していました。今後登場が予定されているOculusの製品版では、映像を作り出すGPU(Graphic Processing Unit)に高い性能が求められるため、VRコンテンツがGPU製品を擁するメーカーの次の決戦の場ともなっているのです。

AMDの展示

 OcuFes会場の隣ではメイドさんが手慣れた様子でハンダ付けを指導するなど、秋葉原ならではの光景も見られました。

メイドさんがハンダ付けを指導
今やオタク活動が中心の元スノーボード選手、成田童夢さん

松岡洋

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