百花繚乱、自転車シェア メルカリの1分4円自転車シェア「メルチャリ」は何が違う?(1/2 ページ)

個人宅やお店の軒先も「ポート」にできる。まずは福岡で2月27日に開始。

» 2018年02月14日 09時00分 公開
[岩城俊介ねとらぼ]

 メルカリは2月13日、自転車シェアリングサービス「メルチャリ」を2018年2月27日に開始すると発表しました。まずは福岡県福岡市で、50ポート/200台の体制で運用を始めます。

photo 赤いカラーで統一したメルチャリの車両

 メルチャリは、フリマアプリ「メルカリ」の基盤を生かし、「1分4円」の時間課金スタイルで自転車を借りられるサービス。メルカリIDと連携し、「いつでもどこでもすぐ使える」を工夫した使い勝手を特長とします。借りる自転車の検索、利用予約、解錠までの一連の手続きをスマホアプリだけで行えます。

 自転車に車両位置を追跡するGPSと通信機能を内蔵したスライドロック型の鍵を備え、スマホアプリで借りる自転車のQRコードを読み取れば解錠できるようになっています。また、GPSによって車両の位置を把握できることから、目的地に到着したら最寄りの駐輪スペースへ止めればOK(借りた場所へ返さなくてもいい)とする乗り捨て利用も可能です。「駅から目的地へ」といった短時間利用がほとんどで、同社によると利用時間の平均は15〜30分前後と想定しています。30分の利用ならば料金は120円です。

photo GPSと通信機能を内蔵したサイクルロックを装備。アプリで車両のQRコードを読み取れば解錠、返却は鍵をスライドして掛ければ完了というシンプルな仕組み

 国内の自転車シェアリングサービスは、2014年に自治体とNTTドコモ(ドコモバイクシェア)が連携してサービスを開始(関連記事)。ソフトバンクグループのOpenStreetは自治体などと連携したサービスを展開、また同グループのソフトバンク コマース&サービスも中国ofo(オッフォ)と協業してサービスを開始します。携帯電話事業者以外にも、2017年はセブン-イレブン(関連記事)、LINE(関連記事)、Mobike(関連記事)など、それぞれ多くのユーザーを抱える企業やサービスの参入表明が相次ぎました。その中でメルチャリは「共同運用型」と呼ぶ仕組みを採用することで、他社との差別化を図る考えです。

photo メルカリ執行役員兼ソウゾウ代表取締役の松本龍佑氏(写真=左)とソウゾウ メルチャリプロダクト責任者の井上雅意(がい)氏

 共同運用型とは「サービス運営側だけでなく、利用者や地域の企業が自主的に参加し、サービス改善や拡充を図っていく考え方」とメルカリ執行役員で、メルチャリのサービス運営会社であるソウゾウ社長の松本龍祐氏は説明します。メルチャリの「駐輪スペース(ポート)」は、サービスに賛同した地域の民間企業や店舗の空きスペースに加えて、個人宅へも設置可能。個人ユーザーにも設置を呼び掛けます。個人利用者が自宅の空きスペースを提供することでポートが増えていき、同時に地域も、利用者自身もより使いやすくなっていくという考え方です。また個人商店などでも客の呼び水になります。

 このように、「自転車」のシェアだけでなく、地域の利用者が所持する「空きスペース」もシェアすることで、結果として「いつでも、どこでも使える」がさらに広がる利用シーンを目指します。ポート提供の申請はhttps://merchari.bike/portowner/から行えます。


利用者の「いい行い」で、さらによいサービスに

 また「放置車両の低減」にも、利用者の“よりよいサービスを”の意識を活用します。自転車シェアサービスの普及で先行する中国の上海市などでは、身勝手に使われ、放置されたシェアサービス車両の迷惑駐輪が新たな社会問題となっています。日本では、これでは地域に受け入れられず、サービスとしても成り立ちません。

 この課題に対してメルチャリでは、「放置車両を見つけたら、利用者がポートへ戻す/故障車両があったら報告する」などの運営を手助けする行動にメルカリポイントなどのインセンティブを付与する仕組みを設けました。併せて、「放置自転車を探してポイントゲット」といったゲーム性の要素(ゲーミフィケーション)も取り入れることで、利用者が自発的に参加したくなる仕組みを設けます。

photo

 福岡市では、博多、天神、ウォーターフロントエリアを中心に展開し、2018年夏までに200ポート/2000台まで拡充する計画。福岡を選定した理由は、既にメルカリのサポート拠点があること。そして、地形が平坦で、中心街の回遊性を高める移動手段に自転車が適している都市のためとしています。また、福岡市での実証を踏まえて他都市での展開も早期に実現したいとしています。

 メルチャリは、「メルカリが抱える豊富なユーザー」と「自宅の空きスペースをポートにできること」がトリガーになりそうです。自宅、あるいは隣接する場所にポートがあれば「そもそも自転車を所有しなくてもいい/買わなくていい」と考える人は増えるはず。また駅前の放置自転車も、サービスの普及によって緩和されていくのかもしれません。百花繚乱の自転車シェアサービス、日本でもいよいよ普及が加速していきそうです。

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