「物心ついたころから昆虫好きの昆虫少年」 Twitterのヒアリ鑑定人「ヒアリ警察」の人柄を探ってみた(1/2 ページ)

Twitter屈指の昆虫ガチ勢。

» 2018年12月08日 11時00分 公開
[ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 2017年6月に国内で確認されたヒアリ。最近では落ち着いた印象があるものの、生態系への影響や人的被害の可能性から、その危険性は確認された直後から何度も報じられました。アリ自体はいたる所で見つかるものですが、たまたま見つけたアリに対しても「もしかするとこれはヒアリかもしれない」と疑心暗鬼になる人も多かったようです。

 ヒアリへの危機感が増していく中、Twitterに登場したのが「ヒアリ警察」(@_Solenopsis)さん。2017年7月にアカウントを開設すると「見つけたアリがヒアリかどうかを判定してくれるアカウント」としてすぐさま人気者になりました。また、手軽にアリの同定をする鑑定人としてだけではなく、Twitter上で見せる機転の効いた振る舞いが注目を集めることも。

 Twitterで人気を博すヒアリ鑑定人であり、アリ界の広報担当(?)でもあるヒアリ警察さんは一体何者なのか。ヒアリ警察さんご本人に取材を行い、その人柄を探ってみました。


ヒアリ

―― Twitterを見ているとアリの知識がとても豊富ですが、ヒアリ警察さんはアリの研究者なのですか?

ヒアリ警察: アリの研究者ではありません。アリは趣味で好きなのであって、眺めたり飼育したり珍しい種を探したりするような、ただのアリ好きに過ぎません。しかしプロの研究者でなくとも勉強はできます。書籍、Webサイト、そして何より生き物のいる場所からさまざまなことが学べますし、近年はインターネットの発達と良質な図鑑の発行によって、知識の集積は私のようなアマチュアでもさほど難しくなくなりました。暇な時間にネットを見て本を読んで、それだけで少し詳しくなった気分になれます。

―― プライベートな時間もアリの勉強に使っているんですね。

ヒアリ警察: もちろん、本やネットで読んで見て聞いてだけでは頭でっかちになってしまうので、実際にフィールドへ赴き採集・観察することが最も重要です。私の写真による同定も、野外観察と文献の両方の経験と考察を生かした結果であると思います。

―― 普段はどういうお仕事をされているのでしょうか?

ヒアリ警察: それは秘密です。しかし、仕事でアリを扱うことはありませんね。年齢も秘密ですが、ツイートの内容から推測することができるかもしれません。

―― なぜヒアリ警察のアカウントを作ったのですか?

ヒアリ警察: これまでさまざまな取材で聞かれており、毎度少しずつ内容が変わっていることがありますが、おおまかなところでは、

  • ヒアリが発見されてからというものの、日本在来のアリやアリに似た生き物たちがヒアリと間違われて殺されてしまうことが悲しく痛ましく、そのような誤解を解くため。
  • ヒアリ騒動に携わり、お忙しい専門の研究者の方がヒアリについての質問や同定依頼に日々ご対応されていて、そのご負担を少しでも軽減したいという気持ち。
  • 専門家や地方自治体にアリやヒアリのことを訊いたり写真を見せたりする手間や気恥ずかしさ、ためらいといった問題を、気軽にリプライできることによって解消できると考えたため。
  • 騒動を通してせっかくアリに興味を持つ人が増えたのだから、もっとアリについて知ってもらいたい。

 この4点が動機でしょうか。活動場所をTwitterにした理由は、ヒアリと間違えて違うアリの画像を上げる人が多かったこと、SNSでありコミュニケーションが直に素早く行えること、拡散されることで興味のない人、私の目の届かない人にも情報が行き渡ると考えたからです。

―― 「ただのアリ好き」とのことですが、なぜそれほどアリのことが好きになったのでしょうか?

ヒアリ警察: アリの持つ社会性に興味を持ったからです。社会性、特にアリやミツバチなどに見られる“真社会性”(ハチやアリなどが持つ社会性)は、子孫を残す生殖階級の女王アリと子孫を残せない不妊階級の働きアリを持ち、1つの集団で分業を行うことが特徴です。

 彼女らは子育てを行い、巣の外で餌を集め、ときに協力して大きな生物と戦い、巣の繁栄のために働きます。また、餌を運ぶのが下手、歩くのが遅い、他の個体が作業している隣でボーっとするなど、ときおり見せる個体差のある行動が私の心をつかんで離しません。家の中で飼っているアリを眺めているだけで一日が過ぎます。こんな生き物は他にいないと思います。小さな昆虫としてではなく、1つの人間社会をのぞいているような気持ちになります。

―― アリ以外に好きな昆虫はありますか?

ヒアリ警察: アリはハチの仲間なのでハチも大好きです。スズメバチのような大きくてかっこいいハチ、巧みな戦術で生きる寄生バチ、可愛らしいハナバチ、みんな好きです。また、皆さんが大好きなカブトムシやクワガタも好きです。あとはカマキリも好きです。挙げていくときりがありませんね。


ヒアリ 見た目は違うけど、分類学上ハチとアリは仲間だそうです

―― やはり昆虫全般がお好きなんですね。昆虫を飼育した経験はありますか?

ヒアリ警察: あります。カブトムシやクワガタ、トンボ(ヤゴ)、カマキリなどさまざまです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」