「夢ってそういうものじゃないですか」
週末、オライリージャパンが主催するものづくりイベント「Make: Tokyo Meeting 07」に参加してきました(リポートはこちら)。毎回様々なジャンルのMaker(自由な発想でテクノロジーを使いこなし、ものづくりを楽しむ人たちのこと)たちが集まり、自慢の工作物を持ち寄って披露しあう本イベントですが、中でも印象に残ったのが、体育館前で実演していた(架空会社)仁葉工芸さんの歩行補助機「イヌコマ」。実は昨年のイベントでも(それ以前もちょくちょく)見かけてはいたのですが、聞けばなんと実際に運転・試乗させてくれるとのこと。これは乗るしかない!


ずんぐりとした丸っこいボディに4本足。全体はツヤのあるえんじ色で塗装されており、見た目は「攻殻機動隊」に出てくる多脚戦車「フチコマ」にそっくり(アニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズではタチコマ)。足の裏には車輪がついていて、道路の上をすべるようにスーッと移動する。移動するたびに周りからは「おおーっ」「楽しそうー!」という声があがります。
待っていると、順番が来たのでわくわくしつつ試乗。正面にステップがあるので、そこに足をかけて「よっこらしょ」と乗り込みます。コックピットはけっこう狭く、中では正座が基本。周りをすっぽりと機械に囲まれたドキドキ感は、小さい頃に作った秘密基地遊びにちょっと近いかもしれません。


操作はリモコンで行います。リモコンと言っても、ボタンが1つ、レバーが1本あるだけのごくシンプルなもの。操作も非常に簡単で、レバーを前後に倒せば前進・後退。左右に倒せばその方向に旋回します。まだ右スティックがなかったころの家庭用FPSが確かにこんな操作でしたね。ついでに「このボタンは何ですか?」と聞いてみると、「それは自爆ボタンなので押さないでください」だそう。お、押したい……!
レバーはアナログなので、どれくらい倒すかによって速度が変わります。おそるおそる倒してみると……おおおお、動いた! スピードは歩くのと同じかちょっと早いくらいで、いつもより視点がちょっと高いのが妙に新鮮。ススーッと進んでいくと、周りからはやっぱり「楽しそう!」という声。はいっ、これ超楽しいです!




ビックリしたのが方向転換のスムーズさ。車のようにカーブを描かなくとも、ほぼその場でクイッと後ろを向くことができます。これ、乗り物としてもかなり高性能なのでは……。ちなみに最高時速は6キロメートル以下とのことで、乗り物としてはシニアカーなどの「歩行補助車」に分類されるため、免許なしで誰でも公道を走ることができるのだそうです。

乗せてもらえたのはほんの2〜3分ほどでしたが、日常ではまず味わうことのできない不思議体験に、降りた後もしばらく興奮が収まらなかったほどでした。その後ちょっと話を聞いてみると、制作期間はだいたい2〜3年ほど、制作コストについては「普通のクルマが余裕で1台買えちゃうくらい」とのこと。それを聞いて、たぶん「うわぁ」という顔をしていたのか、すかさず筆者の質問を先読みしたかのように「夢ってそういうものじゃないですか(笑)」と答える仁葉工芸さんの笑顔に、あらためてものづくりの魅力と奥深さを痛感したのでした。お見事です!
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