ゲーマーの有効活用
フィンランド国立図書館とMicrotask社による「DIGITALKOOT」という協同プロジェクトが注目されています。
現在、多くの図書館では「収蔵書籍のデジタル化」が大きな課題となっています。しかし古い書物ともなると、保存状態が良くなかったり、特殊なフォントが使われていたりするため、コンピュータだけでは正確な文字認識が難しい。そこでDIGITALKOOTがたどり着いたのが、「ゲーマーにその認識作業をやらせてしまおう」ということでした。
DIGITALKOOTでは、タイピングゲームのような「Mole Bridge」と、もぐら叩きのような「Mole Hunt」という2種類のゲームがプレイ可能になっています。これらのゲームを遊ぶことで、ユーザーは自然に、古い新聞や書籍のデジタル化作業に協力できるという仕組み。同図書館ではこれまでに400万ページにおよぶ新聞、図書をスキャン済みで、これらをすべて検索可能な形でデジタル化するのが最終的な目標となります。

それぞれのゲーム内容について、もう少し詳しく見てみましょう。「Mole Bridge」は一見ただのタイピングゲームですが、出題される問題文が「古い新聞や書籍からスキャンされた文字列」になっている点が特徴。ユーザーはそれを見て、書かれているとおりにタイピングしていけばOKです。分からない場合は、TABキーを押せば問題をパスすることも可能。

「Mole Hunt」では、モグラが持っているパネルに注目。パネルの上半分には「スキャンされた文字列」、下半分には「それをコンピュータが読み取った結果」が表示されており、「合っている」と思ったなら緑のチェックマークを、「間違っている」と思ったなら赤の×マークを押せばOK。次々飛び出すモグラを見て、パネルに書かれた文字が正しいかどうかを判定していきましょう。

いずれもゲームとしてしっかり作り込まれており、作業感を感じさせないのがすばらしい。日本人にはやや認識が難しい文字もありますが、一度遊んでみる価値はあります。なお、遊ぶ際にはFacebookにログインする必要がありますのでご注意ください。
近年ではこうした人間が持つ創造力や認識能力を研究にいかす試みが盛んになりつつあり、有名なところでは、タンパク質の立体モデルをゲーム感覚で解析させる「Foldit」、宇宙望遠鏡の写真を使ってユーザーに新惑星を発見させる、NASAの「PlanetHunters」などが代表的。これも一種の「ゲーミフィケーション」の応用例といったところでしょうか。


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