
マネキンの代わりに人間そっくりのアンドロイドを使った展示「アンドロイドも恋をする?」がこのほど新宿高島屋で始まった。バレンタインの特別企画で、女性のアンドロイドは恋人を待っている設定。切なげで寂しそうにしていたかと思えば、にっこり笑ったり、手元に目線を落として不安げになったり――。くるくる変わる複雑な表情に注目だ。2月14日まで展示される。
アンドロイド「ジェミノイドF」は大阪大学の石黒浩教授とATR知能ロボティクス研究所が開発した。身長は160センチ。ガラスケースのなかで、春らしい花柄のワンピースを着て座っている。ピンク色の携帯電話を握りしめ、彼からの連絡待っている雰囲気だ。人毛のかつらを付けており、後ろから見ると本物の人間のよう。たまたま通りかかった人が「えっ人間が閉じ込められてるの!?」とびっくりして立ち止まっていたほどリアルだ。
ガラスケースに取り付けたKinectセンサーの反応をもとに、アンドロイドは65通りの「人を待つ短いストーリー」から1つを選んで表情を変える。ストーリーの内容は「彼が来なくてつまらない」「待ちくたびれた」「人がいっぱいいて恥ずかしい」など。さらに感情と覚醒の度合いを調整しており、同じストーリーでもまばたきの回数や唇の引き具合などが微妙に異なる。そのため、表情のパターンは無限にあるという。




「ショーウィンドウとは本来、人があこがれるワンシーンを切り出したもの。マネキンを使うのは妥協の産物だった」と石黒教授。別のとあるショーウィンドウの前まで記者を連れていき「例えばこれは中途半端な美術作品みたいでしょう」と語る。確かに普段街で見かけるショーウィンドウは何を表現しているのかよく分からないものも多いが、このアンドロイドはテーマが明確。恋する表情にグっとくる人も多いのではないだろうか。
2月1日に公開され、2月5日の日曜日には1万人が展示を見に訪れたという。記者の取材中にも人だかりができ、通行人が写真を撮ったり、のぞきこんだりしていた。「売れないファッションモデルよりアンドロイドの方がよっぽど注目を集めている。ジェミノイドFのTwitterアカウントは700人にフォローされていて、普通の人より存在感があるかもしれない。人の存在って何でしょうね」と石黒教授。ロボットを通じて人の本質に迫る研究を今後も続けていく。
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