新憲法草案が話題になっている東浩紀さんが代表を務める会社「ゲンロン」が、一風変わった広告を出していることをご存知だろうか。ゲンロンの公式サイト上部に設置されているバナーをクリックすると、あたかもノベルゲームのように動き出すのだ。
バナーには、言論誌「日本2.0」の宣伝から、カルトクイズまで盛り込まれており、ルートによっては、読み切るまでに10分以上かかるなど、謎に気合いの入った仕様になっている。そして、このアドスフィアと呼ばれるサービスを提供したのが、言語社の笠井翔さん(26)だ。
笠井さんは、PC向けのノベルゲームを制作する傍ら、ブラウザ上で楽しめるものを作りたいと思い、広告バナーを開発したという。アドスフィアがどういったきっかけで誕生し、どのような可能性を秘めているのか詳しく話を聞いてみた。


読み進めるバナーの秘密
――ずばり、アドスフィアとは。
笠井 ノベルゲーム風の広告バナーを作ることが出来ます。クリックしながら読み進めることのできる「スフィアバナー」を提供し、広報をコーディネートするサービスです。
――従来のFlashバナーとは異なり、すべてHTML5/JavaScriptによって制作されているというスフィアバナーの仕組みを教えてください。
笠井 スフィアバナーはiframeを利用しています。それに対応したwebサイトであれば、好きな場所に張り付けることができ、閲覧者のアクションに応じてオンデマンドで読み込まれます。そのため、従来のFlashよりも軽く、また言語社のサーバから配信するため、設置者にかかる負担が格段に減ります。
昨夏にα版を公開した「ノベルスフィア」というプロジェクトがあって、それがベースになっています。

――そもそも、ノベルスフィアとは。
笠井 「NScripter」や「吉里吉里2」といった同人ゲームを作る定番のゲームエンジンがあるんですが、ノベルスフィアはそれらで制作されたゲームをブラウザでプレイ可能にするためのプロジェクトでした。幾度かの方針転換もあって、正式な公開にはこぎ着けていないのですが、現在も準備中です。
以前からノベルゲームをブラウザ上に直接配信したいと思っていました。そして、これを作る過程で、ノベルゲームの可能性は、むしろ張り付けられるという要素を加味すると「広告」にあるのかもしれないと思い、アドスフィアを開発しました。
――なるほど、そんなきっかけだったんですね。
笠井 下手の横好きながら、元々プログラミングに興味があったんです。小学校時代はHSPというスクリプト言語を触っていました。SF映画などに新聞の写真が動くシーンが出てきますよね。僕にとって、ブラウザの画面は紙みたいなもので、紙のメタファーの中に穴があって、その向こう側で色々と動くことに面白味を感じるんです。
ゲーム制作の仕事もしているのですが、修羅場の時に、現実逃避的に、1日10分、ゲームをブラウザで動かせないかと内職をしていました(笑) そんなことをしていたら、多聞さん(イラストSNS「TINAMI」の親会社)が応援してくださって、一昨年の年末にプロジェクトが始まりました。
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