
「リアルとネットの境界線をなくしたい」――そんな課題にドワンゴが挑戦しています。このたび開発したのは360度全天球カメラを活用したニコニコ生放送の新システム。視聴者がWebブラウザ上で映像をグリグリと自由に動かし、見たい方向に切り替えられるようにしました。4月26日、27日に開催される「ニコニコ超パーティーIII」の生放送で初めて実際に試すことができます(PCからのみ)。
本番を今週末に控えた4月21日、ニコファーレでは新システムのテストが行われていました。使用するカメラは「Ladybug3」。6台のカメラを内蔵したパノラマ動画像撮影用のカメラで160万円ほどする高価なものです。これをニコファーレの中央に設置し、360度全方位を撮影・ライブ配信しました。

ニコニコ生放送の画面ではその全天球カメラ映像をマウス操作で自由に動かせます。ステージを正面から見るだけでなく、右へ左へと視点を変えられるのです。つまり「ニコニコ超パーティーIII」の会場に行かなくても、ネット視聴者はより会場に近い形でイベントを楽しめるというわけ。天井を見上げることだって可能です。ちなみにコメントは普段通り映像の上に重ねて表示されます。


全天球カメラのパノラマ映像は地球儀を切り開いたみたいな感じ(左)、それをニコ生配信(右)

ドワンゴの岩城進之介さん(プラットフォーム事業本部 サービス企画開発部 ニコファーレセクション セクションマネージャ)によると、全天球カメラを活用したニコニコ生放送はニコファーレ設立当初からの夢だったそうです。確かに四方をLEDディスプレイに囲まれたニコファーレとの相性は良さそう。今後はニコファーレで定常的に全天球カメラでの撮影を可能にする計画です。
さらにNTTとの連携によって、配信される全天球カメラ映像の高画質化も進めています。視聴している方向の映像だけを選択的に高画質配信できる仕組みによって、限られた帯域下でも高品質な映像配信を実現します。今回のニコニコ超パーティーには間に合いませんでしたが、近いうちに試せる機会が来ることを期待したいですね。
さらにさらに、VR(バーチャルリアリティ)ヘッドセット「Oculus Rift」に全天球カメラ映像をコメント付きで映し出す、という研究も行なっています。筆者が体験したデモでは、ニコファーレのコンサート映像がOculus Riftに映し出され、顔の向きに連動。そのハンパない没入感に加え、足元からコメントが“発射”されるような演出も加わっており、リアルで見るより楽しいんじゃないか? と思ってしまったほどです。


ネット配信される全天球カメラ映像をリアルタイムにOculus Riftに表示できるようにするには、さまざまな技術的ハードルがありますが、「タイミングを見ていつか実現したい」と岩城さん。「Oculus Riftをつけた状態でどうやってコメントを入力すればいいのか考えています(笑)」と明かしてくれました。
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