10月5〜7日にロサンゼルスで開催されたイベント「Adobe MAX 2015」の展示会場「Community Pavilion」内にて、歴代のPhotoshopが展示された。展示されたのは1990年の「Photoshop 1.0」、1994年の「Photoshop 3.0」、2003年の「Photoshop CS1」、2015年の「Photoshop CC 2015」。Photoshop誕生25周年を記念し、歴代Photoshopと共にカレンダーやPC、小物など当時の様子が再現された。
1990年の「Photoshop 1.0」
Photoshopの生みの親であるトーマス・ノール氏が初めてカメラを手にしたのは11歳のとき。父からのクリスマスプレゼントで、写真の撮り方や白黒写真の現像方法などを教えてもらったという。暗室では「黒を黒に、白を白に」表現することが難しく、このときの記憶が「レベル補正ダイアログボックス」の発明の基となっている。
ノール氏は博士課程で「コンピュータビジョン」を専攻した。コンピュータビジョンとは、コンピューターに画像をどうやって認識させるかの研究をする分野。彼の研究テーマは画像認識のアルゴリズムで、重なり合った被写体をそれぞれに認識させるために、それぞれの輪郭を抽出するところからはじめた。こうして生まれたのが画像の輪郭を抽出するツールだ。
1990年、Photoshop 1.0が発売された。これの基ができたのが1987年のとき。大学で作っていた画像処理のためのツールをIndustrial Light & Magicで働く弟に渡し、そのリクエストに答えてアップデートし続けた。そうしてできたバラバラのツールを1つにまとめたのがPhotoshopの初期のバージョン。数カ月経ったある日、彼の弟は言った――「これ、売れるよ」。トーマス・ノール氏は中退して弟と2人で小さな会社を作った。1989年、Adobeと契約を結び、1990年にPhotoshop 1.0は誕生した。
1994年の「Photoshop 3.0」
2003年の「Photoshop CS1」
2015年の「Photoshop CC 2015」
歴代Photoshopの部屋を見渡せば、その時代の風景が見えてくる。Photoshop 1.0が出た当時、コンピュータの中に画像を取り込むには高額なハードウェアを用意しなければならなかった。Photoshopが使えるコンピュータは、当時の価格で5000ドル、Photoshop 1.0は800ドル弱。出力をするには4色分解するしかなかった。今は写真ならデジタルカメラを買えばいい。出力には手軽なインクジェットプリンタがある。
展示では当時のPhotoshopを実際に動かしながら、その歴史に触れ合うことができた。
(太田智美)
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