基礎的な電子工作の知識で人工衛星が作れてしまう人工衛星開発キット「ARTSAT KIT」がクラウドファンディングで支援を募集中です。支援コースは3000円から。キットは40万円以上の支援者に贈られます。

人工衛星の部品やソフトウェア開発を手掛けるスペースシフトが支援を募っている「ARTSAT KIT」のベースは、東京大学と多摩美術大学の共同開発で生まれた「ARTSAT1:INVADER」という超小型衛星。2014年2月に打ち上げられたH-IIAロケット23号機によって高度約400キロの地球周回軌道に投入、宇宙空間でのさまざまなミッションをこなした実績を持ちます。

ARTSAT KITは、オープンソースハードウェアであるArduino互換のオンボードコンピューター「MORIKAWA」を中心に、ジャイロや地磁気・温度センサー、QQVGA(160×120ピクセル)のカメラなどを備えます。FM変調で地上と通信(1200bps)し、軌道上でユーザープログラムを実行することなども可能です。

人工衛星の開発キットは海外では市販されているものもありますが、高額で、マニュアルなどが日本語ではないため、開発のハードルは高くなりがち。ARTSAT KITでは、日本語の組み立てマニュアルや設計仕様書(350ページ)も用意され、そのハードルを下げようとしています。
電源となる宇宙用の太陽電池や通信モジュールは別売りで、基板を組み付ける衛星構体も公開されている3DCADデータから3Dプリンターなどで別途作成が必要です。また、実際の打ち上げはJAXAの無償プログラムを除けば有償でのペイロードとなり、希望に応じてスペースシフトがサポートするとしています。
人類初の人工衛星は1957年にソ連が打ち上げたスプートニク1号。それから59年、人工衛星は個人でも所有できる時代がやってきたようです。ARTSAT KITを先駆けに、家庭用のパーソナル人工衛星が、PC、携帯電話、スマートフォンのように次世代の新しいツールとなっていく日も近いのかもしれませんね。
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