海外メディアEurogamerとのインタビューのなかで、任天堂のプロデューサーである山上仁志氏が「ファミコンウォーズ」シリーズの今後の展開について言及している。同シリーズは、最新作である「ファミコンウォーズDS 失われた光」を2008年に海外向けに発売。国内向けには2009年に発売が予定されていたものの、発売中止となった。最終的には2013年に、ニンテンドー3DS専用DSiウェアタイトルとして、クラブニンテンドー経由をして配信されていた。4年前にはこうした展開があったものの、新作について約9年間音沙汰がない。
「Fire Emblem Echoes: Shadows of Valentia(ファイアーエムブレム エコーズ)」について語るなかで、Eurogamerから、プロデューサーをつとめる「ファミコンウォーズ」シリーズについて問われた山上氏は、慎重に言葉を選びながら新作についてコメントしている。
個人的には「ファミコンウォーズ」についても、やりたいです。しかし、「ファミコンウォーズ」は、「ファイアーエムブレム」よりもキャラクター同士の関係性を作るのが難しく、どのような設定にできるのか、明確な考えはないですね。
また長きにわたり「ファイアーエムブレム」に携わるインテリジェントシステムズの樋口雅大氏も「個人的には、「ファミコンウォーズ」はとても気になるシリーズです。」と山上氏と同様に個人的に新作を望む姿勢を見せている。
山上氏がキャラクター同士の関係性について語るのは、近年の「ファイアーエムブレム」作品の影響が大きいだろう。同シリーズは第一作目から「手強さ」と同様に「キャラクター」に魅力があるタイトルだった。同シリーズは長年にわたり、さまざまなハードで魅力的な続編をリリースしてきたものの、売り上げやコミュニティーは徐々に下降もしくは縮小しつつあった。しかし、キャラクター同士のつながりを拡張し、仲良くなれば子供ができるというところまで踏み込んだニンテンドー3DS向け「ファイアーエムブレム 覚醒」は幅広いプレイヤーに受け入れられ、大ヒットを記録。一躍任天堂の看板タイトルになるほどの成長を遂げた。ゆえに、キャラクター同士の関係性というのは、山上氏にとって外せないものなのだろう。


「ファミコンウォーズ」シリーズは「ファイアーエムブレム」と同じくインテリジェントシステムズが開発しているが、物語性やキャラクター性はよりシンプルなものとなっており、純粋に戦略を考えるシミュレーションゲームだといえる。こうした点で、2つの作品は差別化されていたわけだ。しかし、「ファミコンウォーズDS 失われた光」では、キャラクターデザインは今までのポップなものから現代的なものに変更され、物語の演出についても大幅に強化されるなど、方向性に変化を加えた形跡は存在していた。
「ファミコンウォーズDS 失われた光」が発表されたのは「ファイアーエムブレム 覚醒」がヒットするよりも前であるので、「ファイアーエムブレム」フランチャイズに合わせて作風に変化を加えようとしたのではなく、もともと開発側が変化の必要性を感じていたのだろう。
それぞれ魅力の異なるタイトルであり、ファンにとっては両方をリリースし続けてほしい願望もあるだろう。一方でゲームを売っていくうえで山上氏は「ファミコンウォーズ」をどのように展開していけばいいか、決めてかねている様子だ。もともと海外では人気があり、根強く新作を望む声がある「ファミコンウォーズ」の続編が発表される日はくるのだろうか。
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