
ふと窓の外を見ると、雨が降っていた。数時間前にも降っていたはずだ。
降りしきる雨――それは恵みの雨であり、哀しみの雨であり……ん、ちょっと待てよ?
「降りしきる」の「しきる」って何だ?
いや、なんとなく意味は分かる。ずっと降り続いている……的な。「しきる」にはきっと、「〜し続ける」みたいな意味があるのだろう。
でも、「しきる」って「降りしきる」以外に使わないんじゃないか? 「しきる」って一体何物なんだ?
「しきる」の意味は?
「しきる」を漢字で書くと、「頻る」。
「頻繁」や「頻度」の「頻」だ。意味は「絶え間なく」「さかんに」といった類い。漢字のイメージとも合致している。つまり「降りしきる雨」とは、「絶え間なく降っている雨」という意味なのだ。
「降りしきる」以外に使うの?
「しきる」の「降りしきる」以外の用法が思い浮かばないため、調べたい。こういうときにはコーパスを使えば良い。「コーパス」とは、小説などで実際に使われている文章をたくさん集めてきた集合体のこと。今回は誰でも無償で使える「少納言」を利用する。
「しきる」で検索。「取りしきる」などの明らかに意味が違う用例を排除していくと、101件が該当した。このうち、99件が「降りしきる」「ふりしきる」で、圧倒的シェアを誇った。

気になる残りの2件とは、「鳴きしきる」。蝉の鳴き声が絶え間なく聞こえるさまを表す。「蝉時雨」という表現もあるように、蝉の鳴き声がしばしば雨にたとえられることを考えると、「鳴きしきる」という表現にも納得だ。
「しきる」という言葉には、雨のようなものが絶え間なく降り注ぎ続けるイメージがあることが分かった。祭りのように騒がしい蝉の鳴き声を聞いたときには、「蝉が鳴きしきっているなあ」と思えば、少しは風情を感じられるかもしれない。
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