「祝 北島マヤ様 あなたのファンより」。そんな札を掲げた紫のバラの花束が、漫画『ガラスの仮面』の40周年企画展「ガラスの仮面展」(8月23日〜9月4日)に設置され、物語の名場面を再現した秀逸な演出だとTwitterで注目を集めています。

企画展に届いた紫のバラ(写真提供:美内すずえ事務所)
実はこの花束、会場の松屋銀座に取材したところ、イベント側が用意した展示物ではなく、匿名のファンから贈られたものだったことが分かりました。以前から『ガラスの仮面』の関連イベントには、よくこうして送り主不明の誰かから紫のバラが届き、会場の目立つ場所に飾られるのだそうです。


紫のバラは『ガラスの仮面』のキーアイテム。コミックス表紙でも何度も描かれている
紫のバラは『ガラスの仮面』でおなじみのアイテム。物語で芸能プロダクションの社長・速水真澄は、主人公の北島マヤの演技にかける情熱に心打たれ、素性を隠してファンレターを贈り続けます。その際にいつも添えてあるのが紫のバラ。マヤは駆け出しの頃から応援してくれる誰かに「紫のバラの人」と感謝し続け、自分を仕事道具として扱う速水には敵意を向けます。しかし速水はその贈り主であり、訳あって正体を明かせない。2人の複雑な関係を紫のバラは演出しているのです。
美内先生が写真を紹介したところ大きな話題に
それを忠実に再現したスタンド花が今回の「ガラスの仮面展」に届けられ、一番目立つ入り口の脇に設置されました。8月24日に作者の美内すずえさんがTwitterで「来てます。あのひとからの花束」と、バラの写真を投稿したところ、2万回以上リツイートされるなど大きな話題に。「これは最高に粋な演出」「ステキすぎる」と原作を知るファンから評判の声があがりました。

花束が届けられた「ガラスの仮面展」(公式サイト)
ネットでは花束を企画の一部と受け取る人が多くいましたが、実は原作と同様、こちらの紫のバラも匿名ファンから届けられていました。調べによると、関連イベントにバラが届き始めたのは2007年夏、世田谷文学館で開催された『ガラスの仮面展』の頃から。数は舞台などあわせて10回ほどで、毎回いい位置に飾られては来場者の目を楽しませているそうです。
40年も愛され続けている『ガラスの仮面』――物語はいつか最終回を迎えるでしょうが、ファンとの粋な関係はいつまでも続いてほしいところです。開催中「ガラスの仮面展」は現在の東京会場は9月4日まで、京都会場は美術館「えき」KYOTOで12月1日〜25日に催されます。
(黒木貴啓)
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