首都圏共通ICカード乗車券「PASMO」の発行や電子マネーサービス事業を行うパスモが9月13日、「モバイルPASMO」の商標登録を行ったことが明らかになりました。9月26日、独立行政法人の工業所有権情報・研修館による「特許情報プラットフォーム」へ商標公報(商標出願2107-122035)として公開されました。

無記名PASMOとPASMO定期券(出典:PASMO公式サイト)
商標公報によると、出願された商標は「モバイルPASMO」。その名称から、Suicaに対する「モバイルSuica」のように、PASMOをスマートフォンやスマートウォッチなどの携帯デバイスで利用できるようにするアプリ、及びサービスのようです。


公開された出願内容
PASMOは、首都圏の100を超える私鉄やバス事業者などで使える共通ICカード乗車券及び電子マネーサービス。2017年10月現在、東日本旅客鉄道(JR東日本)と東京モノレール、東京臨海高速鉄道などで使えるSuicaのほか、北海道旅客鉄道(JR北海道)のKitaca、名古屋市交通局と名古屋鉄道のmanaca、東海旅客鉄道(JR東海)のTOICA、近畿圏で展開するスルッとKANSAIのPiTaPa、西日本旅客鉄道(JR西日本)のICOCA、福岡市交通局のはやかけん、西日本鉄道のnimoca、九州旅客鉄道(JR九州)のSUGOCAとも相互利用できるようになり、ICカードでの利用ならばPASMOカード1枚で済むように連携が進みました。
ただし、PASMOにはこれまで「スマートフォン(携帯デバイス向け)アプリ」がありませんでした。これは従来型携帯電話の「おサイフケータイ」時代からそうであり、PASMOは基本的にICカードで使うものという位置付けになっていました。
もちろん前述したように、相互利用範囲が広がったことから、SuicaアプリがあればPASMOエリアの私鉄などでもスマートフォンで利用できます。SuicaとSuicaアプリを中心に使うようにすれば、スマートフォンユーザーの多くが望むシーンで大抵の利用ニーズを満たせます。

私鉄沿線住みの多くは「2つ持ち」をしている
しかし、私鉄や地下鉄沿線に住み、かつ会社の最寄り駅も私鉄や地下鉄の人は「定期券」の問題が残ります。モバイルSuicaの「Suica定期券」は、PASMO取扱事業者の管轄となる私鉄や地下鉄などだけの区間では購入できません。また、複数の事業者を乗り継ぐ区間の場合も「乗る駅か降りる駅がJR東日本の駅」でなければ買えません(ここについては幾つか例外もあるようなので、原則となります)。ともあれ、自宅か会社のどちらかの最寄り駅がJRの駅でなければSuica定期券は買えないということですね。
こういった人はどうしているのか。仕方なく「2つ持ち」をしている場合が多いのではないでしょうか。例えばある私鉄沿線住みの知人は、通勤時のみPASMO定期券を、それ以外はスマホでモバイルSuicaを使っています。オートチャージなどの利便性が良いほかに、交通系以外の支払いも1台でカバーでき、iPhoneとApple WatchでApple Payを使えることが何より便利だからだそうです。どちらをハブにするかを考え、PASMOカードは仕方なく使っている、ということですね。
PASMO陣営である西武鉄道管理部広報担当に話を聞いたところ、「世間のスマートフォンシフトは認識しておりますが、モバイル(で使える)PASMOの可能性について、現時点、何か申し上げられることはありません。お客さまのニーズと費用対効果を見極めながら検討していきます」とのことです。
【追記:2017年10月4日17時40分 事業者コメントを追記しました】
もっとも、2017年10月4日時点では商標出願されただけですので、サービスをはじめるかどうかも定かではありません。ただ、モバイルPASMO的なサービスは「多くの人に期待されている」ことは間違いありません。楽しみに正式発表を待ちましょう。
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