ダイエット志向の高まりから、「カロリーゼロ」をうたう飲食物がたくさん販売されています。
カロリーは人間にとって、「摂取しないと動けなくなる燃料」のような存在。カロリーをとることは、食事の目的の1つなのです。とはいえ、つい食べすぎてしまうと「カロリーが無ければ、太る心配がないのに……」と後悔してしまうもの。そういう需要から、カロリーゼロ商品が生まれているのでしょう。
しかし、もしカロリーゼロのものばかり飲んだり食べたりしていたら、どうなるのでしょうか。お腹は膨れたけど餓死……なんてことになるのかな?

「カロリーゼロ=0キロカロリー」ではない
ここで確認しておきたいのは、「カロリーゼロ=0キロカロリー」ではないということ。
栄養成分表示に関する決まりで、100グラム(液体なら100ミリリットル)あたり、5キロカロリー未満であれば、「カロリーゼロ」と表示できることになっています。これだけカロリーが低ければゼロと見なしてもいいだろう、という線引きがされているのです。
ちなみに、ヘルシーな食べ物の代表格であるこんにゃくは100グラムで6.9キロカロリー、きゅうりは14キロカロリー。これらよりもさらに低カロリーでなければ、「カロリーゼロ」と名乗ることはできません。
※「カロリー控えめ」「低カロリー」と表示できるのは、100グラム(液体なら100ミリリットル)あたり20キロカロリー未満のとき。

カロリーゼロ商品に多いのは、甘い飲み物やゼリー系の食品。これらのカロリーは基本的に甘味料に由来するので、強い甘味をもつ人工甘味料を使って糖分量を減らすことで、カロリーが抑えられます。
一方、甘味料以外の炭水化物、タンパク質、脂質を含む食品は、否が応でもカロリーを含んでしまうので、「ゼロ」といえるまで減らすのは困難です(タンパク質は1グラムで4キロカロリー、脂質は1グラムで9キロカロリー)。
さて、今回のテーマは「カロリーゼロのものばかり飲んだり食べたりしていたら、どうなるのか」。該当する食生活の一例を挙げると
- 普段の食事の代わりに、人工甘味料で超低カロリーを実現したゼリーをむしゃむしゃ食べ、同様の飲み物をがぶがぶ飲む
といった感じになります。数日間で味に飽きてしまいそうですが、頑張ってこの食事を続けると、人間はどうなるのでしょうか。
カロリーゼロ商品だけで生きられるのか
激しい運動をしなくても、人はカロリーを消費します。それに必要なエネルギー量を「基礎代謝」といい、成人男性で1500、成人女性で1200キロカロリーが目安とされています。
基礎代謝分のカロリーを、カロリーゼロ飲料(5キロカロリー/100ミリリットルと仮定)だけで補うとすると、成人男性の場合、1日30リットルも飲まなければなりません。カロリー不足の前に水分のとりすぎで、体がおかしくなりそう……。
また、前述の通り、カロリーゼロ商品にタンパク質や脂質を加えることはほぼ不可能。これらは身体の組織をつくる成分なので、長期間にわたって欠乏するとやはり命に関わる恐れがあります。
というわけで結論。カロリーゼロ商品ばかり口にしていたら、何かしらが不足して死ぬ。
何事もやり過ぎは良くないもの。高カロリーな食事も、ゼロカロリーな飲食物もほどほどにしておきましょう。
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