「バーチャル売り子システム」なる新技術を発明してしまった人が登場しました。バーチャルYouTuberの躍進が目覚ましい今日このごろですが、なんとバーチャルキャラの活躍の場がコミケ会場にまで広がってしまったようです。

バーチャル売り子システムを制作したのは、Twitterユーザーの京介さん。机に設置したPCモニタにはバーチャルなキャラ(『ひだまりスケッチ』のゆの)が佇んでおり、手には新刊本が。
キャラの動作はNintendo Switch用コントローラーの「Joy-Con」と連動しており、Joy-Conを上下に動かすことでバーチャル売り子も両腕を上下に動かし、新刊本をアピールしくれます。その上、Joy-Conのスティック操作に合わせてニコッと笑う機能や、マイクに向かって喋るとキャラの口も動くリップシンク機能も搭載。これは思わず新刊を買ってしまう……!

京介さんによると、制作期間はなんとたったの2日間。4月ごろから別名義でバーチャルYouTuberとしても活動をしているそうで、その際のノウハウが役立っているのだとか。入力デバイスにJoy-Conを選んだ理由は省スペースでの手軽さを優先したためで、Joy-Conを2個ではなく1個による操作にしたのも、サークルで普通に頒布作業をしているだけでバーチャル売り子がわちゃわちゃ動いてくれるようにするためだったとのこと。
実は京介さんがサークルに展示物を設置するのは今回が初めてではなく、前回は『ひだまりスケッチ』の2次創作Androidアプリ「ひだまり荘VR」を制作。作中のアパートを3Dで再現し、VRで体験できる展示を行いました。今回バーチャル売り子には、前回制作した3Dモデルを流用したそうです。



制作にあたって苦労した点を訪ねたところ、まずジャイロセンサーに施した工夫について教えてくれました。「Joy-Conは優秀なデバイスですが、小型なぶん精度もやや低く、ジャイロセンサーによくドリフト(静止させておいても少しずつ回転してしまう現象)が起こります」と、京介さん。そこで、回転軸のX軸、Y軸、Z軸のどの軸が一番ドリフトしにくいかを調べ、その1軸に絞って回転値を検出するようにしたのだとか。
キャラの動きがJoy-Conときれいに連動して見えるのでなかなか気付きませんが、ジャイロセンサーからは実は上下に回転する軸からしか動きを読み取っていないのだそうです。「左右の動きはジャイロではなく、別の加速度などの値からそれっぽく動かしています」とのこと。
もう1つこだわった点として上げられたのが、「実在感(プレゼンス)」。キャラが単に腕だけを動かしたのでは不自然になるため、体全体の動きにもこだわりがありました。あくまでも「売り子」のため、頭の向きが変わっても目だけは一般参加者のほうを向くよう設定されており、胴体や頭は同人誌の方向を少しずつ向くようにスクリプトが入れられているそうです。そんなところまで工夫されていたとは。

今回は新刊本のページ数が予定よりも減ってしまったそうで、京介さんは「本は薄いけど、展示物で楽しんでいってもらえたら」と夏コミへの意気込みを語っていました。バーチャル売り子には、夏コミ2日目の「西る-25a」で会えます。
取材協力:京介(@KY_kyousuke)さん
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