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ふだん乗っている電車がいつもと違う動きをすると「既視感と違和感がごちゃ混ぜ」になってオモシロイですね。
先日、新橋から京浜東北線の南行きに乗りまして、品川で降りたらこの「アレ、いつもと違うな」を体感しました。周りはいつもの品川駅なんですけれど、立っている場所が違うような。いやあ、パラレルワールドに来ちゃったかなあ。参っちゃったなあ、怖いなぁ、怖いなぁ、いやだなぁ……。こんにちは。稲川淳二です。うそです。杉山淳一です。淳しか合ってない。


2018年6月17日に「田町〜品川間の京浜東北線南行きの線路」が変わりました。
ちなみに京浜東北線は「上り線」「下り線」と言わずに、「南行き」「北行き」といいます。なぜかというと、京浜東北線は東京駅を境にして、東海道本線の各駅停車線、東北本線の各駅停車線という扱いだから。東京から横浜方面は下り、東京から大宮方面も下り。通常使われる上り/下りに当てはめると、京浜東北線は東京駅を境に上りと下りが入れ替わることになります。あぁぁ下りってどっち行きなの? と混乱します。というわけで京浜東北線は、横浜方面を「南行き」、大宮方面を「北行き」と呼んで区別しています。
田町〜品川間の京浜東北線南行きの線路は、これまで西側の山手線とピッタリ並んでいました。東側は車両基地の跡地。ここに新しい街ができます。さらに東側に東海道本線の線路があります。6月17日の線路切り替えで、京浜東北線南行きは東側に移動しました。品川駅では東海道本線の上りプラットホームに発着します。東海道線横浜、小田原方面への乗り換えが便利になるのかなと思ったら、東海道線は「上り」なので東京に戻ってしまいます。残念。
東に移動した京浜東北線南行きの線路は、品川新駅完成後も使われる線路です。車窓右手に品川新駅のプラットホームが通り過ぎていきます。品川新駅(仮称、以下同)の建設は着々と進んでおり、2018年10月現在、折り紙をイメージしたという帆布の屋根が既に見えます。品川新駅の駅舎は、あの屋根から山手線・京浜東北線のプラットホームまで吹き抜けになります。駅舎の下のプラットホームというと大抵は暗めなイメージですが、品川新駅はやわらかな光が降り注ぐ明るい空間になるそうです。

品川新駅とその新しい街にできる「新・鉄道ビュースポット」を考察
品川新駅周辺の街計画について、JR東日本は2018年9月25日に「品川開発プロジェクト(第I期)に係る都市計画について」という報道資料を公開しました。新しい街は、これまで広大な空き地になっていた車両基地の跡地と、京浜東北線、山手線を新駅側へ移動した線路跡地にできます。この南北に長い土地に対して、田町駅側から品川駅側にかけて6つの街区に分けて開発する計画です。
ここまでは公開済みですが、今回公開された資料では、さらに「各街区にどんな建物や設備ができるのか」までが具体的にイラスト入りで示されていました。気になるのは、新しくできる「鉄道ファン向けスポット」ですね。どこにどんなものができるのか、資料をじっくりチェックしてみました。

田町寄りの「1街区」は高層マンションとテラス型マンションが建設されます。空港アクセスの良い立地を生かして、外国人向けの賃貸住宅を想定しています。総戸数は約860戸。このうち、高層階とテラス型マンションの200戸は国際水準の居住施設になります。高層マンションの最下層にはインターナショナルスクールや子育て支援施設ができる予定です。国際水準とは……恐らくは不動産投資価値の国際評価基準(IVS:International Valuation Standards)に準拠するという意味だと思われます。
鉄道ファンとして期待できるのは中層以下の住戸でしょうか。ポイントは線路側に部屋があるかどうか。線路際にあるアパートやマンションの多くは線路側に外廊下が作られます。電車の騒音をできるだけ避けたいからです。しかし濃い鉄道ファンにとってその音は大好物。外廊下からでも電車を眺められはするでしょうが、できれば部屋から眺めたい。低層階だけでもいいから日本人にも門戸を広げてほしいです。
「2街区」は低層の文化創造施設エリアです。高層ビルが海からの風を遮断して起きるヒートアイランド現象を避けるために、低層のこの区画を風の通り道にします。地上施設はエキシビションホールとライブラリー、創作活動を支援するラボ、最上階にレストランを設けます。地下には1000席、最大2000人を収容可能なホールもできます。ここはコンサートや舞台芸術が多く行われる新スポットになりそう。ここで五代目桂三木助さんに「芝浜」を演じてほしいなぁ(関連記事)。
鉄道ファンの期待どころはズバリ、「最上階のレストラン」。電車がよく見えるレストランができますように。屋上テラスも線路が見える位置まで広がっていますように。

「3街区」と「4街区」は高層オフィスビルが建ちます。都営地下鉄と京急の泉岳寺駅に直結する3街区は大型高層ビル、品川新駅に直結する4街区は歩行者広場と通路を挟む形で2つの高層ビルが建ちます。2街区から4街区までは空中デッキの歩行者通路と広場で結ばれます。各オフィスビルのデッキに面する階には飲食店などのテナントが入ります。また、4街区北棟の高層階は国際水準の高級ホテルになる予定です。ホテルの国際水準とは、国際的なトップブランド高級ホテルの誘致となるのでしょうか。あるいは国際ホテル基準として制定された「グリーン・グローブ」を意識しているかもしれません。要するに高級ですね。きっと。
最近のオフィスビルはセキュリティが厳しいため、鉄道ファンがその高層階から電車を眺めたくても入れないかもしれません。この区画で期待できるのは「新駅東側連絡通路(仮称)」です。ここは、新駅舎から全ての線路を渡って芝浦中央公園まで行ける通路になる予定です。田町駅東側や浜松町の世界貿易センタービル展望フロアと並ぶ、絶好の東海道新幹線撮影スポットになるかもしれません!

最後の「第5街区」「第6街区」の詳細は未発表です。このエリアは2018年10月現在、山手線と京浜東北線北行きの線路が通っているので、新駅が開業し、線路の切り替えが済むまでは着手できないと思われます。ただし公開された構想図によると、デッキ階に北口広場が整備され、4街区までとつながる線路側にアクセス通路が作られるようです。ここも鉄道ビュースポットとして期待できそうです。1街区から来るママ鉄さん子鉄さんにとっては絶好のお散歩コースになりそうですね。


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