米フロリダ州で開催された「メカム・オークション」にて、1967年製「フォード・マスタング」が約2.3億円(220万ドル)で落札されました。
マスタングはアメリカ製スポーツカーの一種「マッスルカー」を代表する車種で、今なお根強い人気を誇るシリーズ。今回オークションに出品されたのは初代モデルで、落札予想価格は100万ドルほどでした。
しかし、結果は220万ドルという予想の約2倍という高額落札となりました。それもそのはず……何を隠そう、このクルマはただのマスタングではないのです。

初代マスタングには、フォードがレース参戦のために元レーサーのキャロル・シェルビーさんに委託して開発させた高性能モデルがありました。このチューニングカーはシェルビーさんの会社を通じて市販され、「シェルビー・マスタング」として知られています。
シェルビー・マスタングもレース志向の過激なマシンでしたが、さらなる走行性能を追求して開発されたモデルこそが、今回のオークションに出品されたクルマ、「シェルビー GT500 スーパースネーク」です。

シェルビー GT500 スーパースネークは、当時グッドイヤーが開発していた高性能タイヤのテストも兼ねて開発されました。「ル・マン24時間耐久レース」の優勝マシン「GT40 MkII」と同じ7リッターV8エンジンを600馬力以上にチューンアップ、高速走行試験では最高274km/hを記録しました。
シェルビーはこのマシンを50台ほど製造する計画でしたが、非常に高額なクルマとなってしまうということで断念。スーパースネークは市販化されず、テストに用いられたこの1台限りとなりました。



一品物となったスーパースネークでしたが、その後、2013年にシェルビー・アメリカンが製作した6代目マスタングのチューニングカーで名称が復活。さらに2018年には、50年越しに初代マスタングをベースとしたスーパースネークの復刻マシンが発表され、約2700万円で限定10台が受注生産されました。復刻マシンは一部仕様がオリジナルとは異なりましたが、中古車をベースとしたシェルビーによる製作で、正規のシリアルナンバーも付与されていました。


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