あらゆることの問題と答えを「自分で探していく」ゲーム。
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それもラブ、これもラブ

主人公には1つ能力があって、勇者に倒された「アニマル」たちの魂を見つけてタッチすると生き返らせることができるんです(ソウルキャッチという)。そうすると、救われたアニマルたちはお礼に「ラブ」をくれます。

勇者に倒され、魂になってしまった「スライ」

プレイヤーが魂に触れると生き返らせることができる

生き返らせた後には「ラブ」がもらえる

ラブ?

いわば経験値ですね。そしてラブがたまると、レベルの代わりに「ラブレベル」が上がります。

ラブを集めてベッドで寝ると「ラブレベル」が上がる

HPとか上がるの?

主人公が戦うことはないんで、HPとかはないです。ラブレベルが上がると行動時間が伸びて、より長い時間探索できるようになって、より遠くまで行けるようになります。

そこはRPGっぽい。

アニマルの魂は普通にそのへんにあるの?

そのへんにありますね。でも、キャッチが簡単なものもあれば、難しいものあります。例えば序盤に出てくる「クイダオーレ」というアニマルは、ある食堂の看板娘でした。

かわいいの?

全然。

んだよ!

で、その死体を調べると、「看板娘と呼ばれすぎて今では看板になりたがっている」的な情報が得られるわけです。その情報をもとに、魂がいまどこにいるのか、どうしたら出現してくれるのかなどを推理して、捕まえに行くわけですね。

左側のでろーんとなってしまっているのが「クイダオーレ」の死体

これが「クイダオーレ」の情報。これがソウルキャッチのヒントになる

動物助けて経験値もらうって、「ラブ」って感じするなあ。

「敵を倒して経験値を得る」従来のRPGへのアンチテーゼですね。あと、住人たちの悩みを解決したり、秘密を共有したりすることでもラブは手に入ります。

例えばどんな?

例えば、城下町に住むパン屋の「ベイカー」は、毎日のように決められた時間に店を開け閉めして、1週間に1度だけ夜にお酒を飲みにいくことを楽しみにしている青年です。で、ゲームを進めていくと「お酒を飲んだ次の日にお店に出すパンがお酒くさい」という情報を耳にします。

ファンの間でも人気が高いベイカーのイベント

におい移っちゃってる。

……果たしてそうでしょうか?

!!?

ベイカーさんはいつも店に鍵を閉めて眠るのですが、酔っぱらって帰った日は鍵を閉め忘れちゃうんです。

いつもなら夜は鍵がかかっていて入れないベイカーの店ですが……

毎回!?

毎回です。鍵が開いているということは入れますよね?

あ。

で、中に入ってみるとベイカーさんのある秘密が明らかになる、そしてラブがもらえる。というようなことを世界を歩き回って探すんです。

ああ、面白そう!

え、でも、そのベイカーさんがお酒を飲みに行くのは毎日じゃないんですよね?

1週間に1回です。しかも夜だけ。この世界には時間と曜日の概念があって、住人たちはその時間に合わせた行動をとります。アニマルたちの魂の出現条件もそうですが、いろんな人や動物の性格や行動も全員が「生きている」ので、それを観察して、どうしたらラブが発生するのかを考えて、スケジュールをメモったりしながら、人との会話をしまくるんです。

1人のキャラの行動パターンを1週間単位で調べるって、けっこうな根気が必要ですね。

それも「ラブ」です。どんどん愛着が湧いてきますから。酒を飲みに行く関連でもう一つ、お城には「イビリー」と「フレッド」という兵士がいまして、2人はお城の同じ部屋で暮らしています。

なぜかいつも眠そうなフレッド

この2人にも秘密があると。

イビリーは、相棒のフレッドがいつも寝不足でぼやぼやしていることが気掛かりで、「あいつ夜寝てないんじゃないか」というようなことを言います。

フレッドが夜ふかしで困っているというイビリー

夜、イビリーが寝ている間に何かしてるんだ。

半分正解!

さっきお酒飲みに行く関連って言ってたから……。

イビリーが夜、お酒を飲みに出かけていたら、フレッドは部屋で1人ですよね……?

おいおいおい、やべーよ、見に行きたいよ。

今、たろちんが察したように、イビリーが夜飲みに出掛ける日をメモっておいて、その日の夜にお城に忍び込めば……っていうことですよね。

これ基本的にお酒を飲むことが絡んでるの?

いやたまたま! ほとんど関係ない! 重要なのは、この世界の住人はみんな「生活」があって、みんなそれぞれ「思想」があって、そしてみんな「物語」があるってことなんです。

それをのぞき見る、と。

そうです! 「こうしてくれ」と頼まれることは、月の女王から「扉を開けてこの世界を救って」といわれるくらいで、あとはほぼ「おせっかい」に近いですね。

月の女王? 扉?

ラブを集めて「光の扉」を開けてほしいと願う月の女王

それはやれば分かります。そんな深く考えなくていいです。まあ、月を食べてしまったドラゴンを勇者が討伐に行くRPGの中のお話で、月の女王がいるっていうくらいの認識で。

あ、それはそんなに重要じゃない設定ってこと?

いや「死ぬほどネタバレに関わる根幹部分」です。

だから言えないのか。

まあそれ言い出したら、このゲームしゃべることなくなっちゃうんですけどね。ほとんど伏線なんで。

やべえゲームだ……。

「moon」って、ゲームオーバーの概念はないんですか?

さっきちょろっと「ラブレベルが上がると行動時間が伸びる」みたいなことを言いましたけど、この行動時間内に自宅に戻って眠らないとゲームオーバーです。

ほう。

残りの行動時間は画面左上の時計で確認できる。赤い矢印のところまでに自宅へ帰らないと前にセーブしたところまで戻されてしまう

ラブを集めてレベルを上げる → 行動時間が伸びる → それだけ遠くへ行けるようになる → また新たな住人や死体を見つける → ラブを集める……大体この繰り返しですね。

それを繰り返していくと、この世界を救えるってことか!

……この世界を救う、って何なんですかね。

え?
問題とその答えを「自分で探していく」ゲーム

この世界を救うって、何なんですかね?

いや、先生が言ってたから……。

いや、間違ってないです。ただ、ゲーム側が用意した何かを繰り返すことで答えが出たら、それは従来のRPGと何も変わらないじゃないですか。

……!?

これまで説明したゲーム内容って、従来のRPGと「真逆」でしたよね?

なるほど??? 分かるようで、分からない。

「moon」を進めていると、勇者が正義ではないことに気付く、と言いましたが、ではプレイヤーは中に入って何をするかというと、世界を救うんです。

RPGと同じでは?

いわゆる「RPG」は「悪」とされるものを「排除」すればいいけど、このゲームはまず「悪」が何なのかもよく分からない。

勇者が悪い奴なんじゃないの?

勇者ってなんで動物たちを倒して、ドラゴンを討伐しようとしてるんですかね?

言われてない……。

勇者の物語は最終的にどういう結末を迎えるのか……

これ言わなかったのは、「それすらネタバレ」になるからなんです。

!!?!??

つまり、従来のRPGが「与えられた問題を解決していくもの」だったのに対し、「moon」はあらゆることの問題と答えを「自分で探していく」ゲームなんです。

オープンワールドに近い感じ?

分かりやすく言えばそうかもしれません。だから、みんな同じゲームを始めて、同じゴールを見たはずなのに、そこまでのプロセスが全然違うし、感じ方も全然違うんです。

ほう。

BGMも違うし。

え?

ゲーム内で「MD(ムーンディスク)」というのを売ってるんですけど、それを買って自由にBGMとして流せるんです!

何曲ぐらい?

MDは36曲あります。

結構ある!

MDを売ってくれるバーン

ジャケットやタイトル、説明なども見られる

ゲームのBGMってもちろん素晴らしいものが多いんですが、なんか違うな、この場面でこの曲使うか? って思うこともあるじゃないですか。

ある!

そういうときも、好きな曲をずっとリピートで流しててもいいし、順番に流してもいいし、何も流さず足音や鳥のさえずりとかの環境音だけにしてもいいし、という、20年前以上のゲームとは思えない画期的なこだわりのシステムになってるんです!

しかもこれアーティストもバラバラなので、かなり多種多様な音楽を楽しめます!

もう宣伝じゃん!

購入したディスクは好きな時に流すことができる

それからこのゲーム、さっきも言ったように、住人たちの秘密を見たり動物の魂を集めたり、難易度はバラバラなんですけど全部「謎解き要素」があるんですね。

全部っていうと?

もう全部です。さっきも言いましたけど、この世界の住人全員がそれぞれ生きていて、それぞれに何かを思っていて、それぞれが全部何かの「伏線」だったりします。

!?

で、全部回収されます。

全部!??

全部です。最初の違和感だらけだった「MOON」ももちろん伏線です。

その違和感がスッキリすると!

もっと言えば、エンディング見た後にもう1回プレイしてはじめて気付くような、本当に細かい伏線もオープニングにあります。

いやすごいな「moon」!

このゲームを未プレイの方に話すとき、多くのプレイヤーが「やってみて!」とか「アンチRPG」とかしか言えないのはそのせいです。

ああ、全部伏線とかネタバレになっちゃうから話せる部分が少ないのか!

どうすれば世界を救えるのか、プレイヤーはラブを集めながら世界をすみずみまで探索していく

こんなところに行ったり、

こんなところに行ったりも……