電気刺激で人に味覚を与える技術が「デジタルコンテンツEXPO」(DCEXPO)に出展され、Twitterで話題を呼んでいます。体験者のツイートによると、無味のタマゴをなめていたはずが、電気の操作によって唐突に塩味とうま味がやってくるそうで……それどういうこと?
体験の様子。写っているのはVRコンテンツ制作会社「ハシラス」の代表取締役社長、安藤晃弘(@tezumashi)さん


なめている間は味がしなかったのに、口から離すなり急においしい……!?(画像提供:Someluさん)
この研究は、明治大学宮下芳明研究室と東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター、大阪大学前田太郎研究室が合同で行ったもので、同イベントでは「電気刺激による味覚操作手法」として発表され「InnovativeTechnologies2019」を受賞。
イベントでは手袋型のデバイスをはめた手でフォークを持ち、刺したタマゴをなめても味がしないのに、口から離すと味覚がやってくるというデモが行われました。
体験の様子をTwitterに投稿したSomelu(@Somelu01)さんに詳しく聞いたところ、「電気がオンのときに口に入れると、スーパーボールをなめているくらい味がないのが、オフにした瞬間にうま味と塩味がお吸い物の一口目のように舌に広がります」との回答。
また「オン/オフするたびに、かまなくともおいしい味が広がるので、たくさん食べずに何度でもおいしさを味わえて、ダイエットに良さそうです。一般的になったら、この仕組みを前提にした料理もできそうでワクワクします」と、感激のコメントが寄せられました。確かに、聞いていて夢が広がる技術だし、実際に体験してみたくなる……!
起こっている現象はとても不思議ですが、仕組み自体はごくシンプル。使用されたデバイスは基本的に「指先だけ電気を通す手袋」で、指先に陰極、地肌に陽極をつなぎ、電池から身体へ電気を流せるようしかけられています。


デバイスの概念図と試作品。手袋に積んだ電池から、食品を介して身体に電流が流れる仕組み(宮下芳明研究室の論文データベースより)
手袋をはめた手で食品を口に含んだとき、口内に溶けているナトリウムイオンに電気が与える影響が、デモで発生した味覚の正体。塩味の元となる塩化ナトリウムは口の中に溶けると、ナトリウムイオン(陽イオン)と塩化物イオン(陰イオン)に分かれます。このうち、舌が反応するのは前者のみ。プラスの電荷を持つためデバイスの陰極に引き寄せられ、通電中は味がしなくなるのだそうです。
そして、デバイスを口から離して電流が切れると、陰極に集まっていたナトリウムイオンが一気に開放。口内に広がって強い塩味をもたらすのだそうです。電気が直接舌を刺激するのではなく、口内でナトリウムイオンを動かして味覚を与えるわけですね。

イオンが泳動すると味覚が生まれる(宮下芳明研究室の論文データベースより)

直接バナナやスイカなどを持って食べた場合でも、味覚を付与することは可能。今回の展示では手が汚れないよう、金物のフォークを介したということです(宮下芳明研究室の論文データベースより)
夢のような技術の登場に、リプライでは「太る心配なしでいつまでもおいしい味を楽しめる時代が」「星新一の『味ラジオ』がとうとう現実に」と、感心する声が多数。「ヘルシーでありつつ、しっかり塩味がする減塩食」も実現できそうだと、実用化に期待がかかっています。
- 参考:「食べ物の味が変わる手袋! 電気刺激で味覚を操作する新技術を取材」(ナゾロジー)
協力:宮下芳明(@HomeiMiyashita)さん/Somelu(@Somelu01)さん/安藤晃弘(@tezumashi)さん
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