矢野経済研究所は、2018年度の国内の「オタク市場」を調査し、11月25日にその結果を発表しました。国内のオタク市場は、分野によって差はあるもののおおむね拡大傾向にあり、特に「アニメ」「アイドル」の分野は今後も成長していくと予測されています。

アニメ市場
2018年度のアニメ市場規模(アニメーション制作事業者の売上高)は、前年度とくらべて8.2%増の2900億円と推計されています。これは、テレビや映画といったいままでの映像制作部門に加え、Netflix(ネットフリックス)のオリジナルアニメなど、国内外への映像配信事業が好調なことが理由として挙げられています。
2019年度のアニメ市場規模は、前年度比6.9%増の3100億円と拡大予測。アニメの年間制作本数は減少傾向にあるものの、引き続き国内外への映像配信事業の拡大が見込まれています。
アイドル市場
2018年度のアイドル市場規模(ユーザー消費金額)は、前年度比11.6%増の2400億円と推計。「ジャニーズ」や「AKB48」グループといった大規模なアイドルグループを中心に、既存のファン層が市場を支えているのに加え、新しく魅力的なアイドルグループが日々生まれていることで市場が拡大しているようです。
2019年度のアイドル市場規模は、前年度比6.3%増の2550億円に拡大すると予測されているものの、2019年はジャニーズ事務所によるテレビ局への圧力疑惑(関連記事)や、元NGT48の山口真帆さんの暴行事件(関連記事)が起きており、急速にメディアやファンの支持を失うことは考えにくいものの、成長率は緩やかになるとみられています。
劇場版主要アニメ分析
また、この調査では、2019年4〜6月に公開された主な劇場版アニメを矢野経済研究所独自の解析手法を用いて分析しています。この分析は、インターネット上の検索数とユーザーの口コミの総数である「熱量」、ユーザーの発信する情報の拡散度を指数化した「温度」、口コミやメディア露出数の数から導き出した「魅力度」の3つの軸で作品を評価しています。

この解析で、魅力度・温度ともに高い「積極的支持」と評価された作品は、「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」の2作品でした。
これらの作品は、1回のメディア露出あたりの反響が大きく、作品に関心がある人の間で情報のシェアが積極的に行われていることから、Xビジネスエンジンの指標におけるブランドパワー(熱量、魅力度、温度の総合評価)が強いという結果が出ています。
「熱量」に絞ると、「プロメア」と「名探偵コナン 紺青の拳」が高い数値を出しています。コナンはメディアでの露出量が多かったことが魅力度の低さに、プロメアは、独自の世界観がTwitterなどにおいて説明しにくいため「温度」が低くなったのではないかと考えられます。
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