東海旅客鉄道(JR東海)は2020年1月22日、新形式の在来線通勤型電車「315系」を新製すると発表しました。2021年度から順次投入する計画です。

315系は、同社の保有する通勤電車211系、213系、311系が更新期を迎えることを背景に刷新する、311系以来約22年ぶりとなる新型車両。2021年度から2025年度にかけて352両を製造し、名古屋、静岡の都市圏を中心に、中央本線、東海道本線、関西本線などに順次投入します。これは「211系0番台(8両)」の置き換えも意味します。これをもってJR東海から国鉄時代の車両がなくなります。

315系はコーポレートカラーのオレンジが従来の帯よりも高い位置に配色されました。さらに高いドア上部にも同様のカラーリングを施します。これはホームドアで隠れてしまうことを考慮したものと考えられます。
前面は「直線を使用した幾何学的な形状」となり、「横長に連続した窓」も採用。先進性×親近感を表現したデザインを採用したとしています。

車内の案内表示器には新たに大型のフルカラー液晶ディスプレイを採用し、階段位置や駅設備、運行情報など情報も表示可能に。全車両に車椅子スペース、全編成に車椅子対応トイレを設置するなど、バリアフリー設備も設置します。防犯カメラを1両につき5カ所設置し、セキュリティの向上も図ります。
また「非常走行用蓄電装置」をJR東海の在来線車両として初めて搭載します。非常走行用蓄電装置は、途中で停電したとしても最寄り駅までは走行できるようにするバックアップ電源。同装置は2016年より東京メトロ銀座線に、2020年7月1日にデビューする東海道新幹線の新型車両「N700S」(関連記事)にも搭載。今後製造される新型車両では一般的になりそうです。
乗り心地や経済性も改善します。試験走行中である次期特急車両「HC85系」と同じ一体成型による台車枠を採用し、モーターを駆動する電力変換装置にはSiC素子を採用したVVVFインバータを導入して省エネルギー化を図り、消費電力量を211系と比べて約35%低減するとしています。主要機器(ATS-PT、モーターを駆動する電力変換装置)を2重系化し、信頼性も高めます。
(大泉勝彦)


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