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2020年3月14日、近畿日本鉄道は名古屋〜大阪間で新型特急「ひのとり」(関連記事)の運行を始めました。

レッドメタリックの車体はまさに燃え上がる火の鳥。今までの近鉄特急のイメージを一新します。赤いヤツだから3倍速い……とはいきませんが、きっと3倍快適に違いない! そう信じて、運行開始3日後の3月16日に乗ってきました。だってさ……試乗会は有料も無料も全て抽選に漏れちゃったんだもの。もう我慢できないっす。
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さて、近鉄名古屋駅はJR名古屋駅東側の地下にあります。東海道新幹線のプラットホームを降りて、地下道で在来線プラットホームを全て潜り抜けたところ。いやぁ、いつ来ても豪華な景色で感動します。あ、豪華というのは乗り鉄的に、線路とプラットホームがたくさん並んでいるという意味です。線路は5本、プラットホームは4面で行き止まり式。このうち、特急列車は4番のりば、5番のりばを発着します。
早めに到着して眺めていたら、4番のりばは到着列車用で、5番のりばは出発列車用のようですね。日中は1時間あたり8本が発着。昔ながらの濃いオレンジ色に紺色帯、新塗装の白とオレンジ、私が少年の頃から憧れていた2階建て「ビスタEX」も来ます。流線型のアーバンライナー、伊勢志摩ライナー、豪華特急しまかぜ……。ここ、居るだけで楽しいなあ。
10時50分過ぎ、線路の終端付近に鉄道ファンや旅行者の皆さんが集まります。ひのとりがやってきました。地下トンネルの暗闇の向こうから、白一文字のLEDヘッドライトを輝かせて、静かに入線します。いやぁ、これはカッコいい。メタリックレッドのボディーの先頭から屋根にかけて照明を受けて光っています。流線型のエッジを強調します。



ひのとりは6両編成で、両端の1号車と6号車がハイデッカータイプのプレミアム車両、中間車4両がレギュラー車両です。プレミアム車両は3列(2+1列)の幅ゆったり座席で前後間隔130センチ、レギュラー車両は4列(2+2列)で前後間隔116センチ。足元が本当にゆったり広いです。
そして、ひのとりの大きなアピールポイントは、全席が「バックシェルタイプ」であることです。座席の背面についたてのような固定の仕切りがあって、座席を倒しても後席に影響しません。後席を気にせずにリクライニングできます。名古屋〜大阪間はビジネス利用も多く、リクライニングを最大に倒して眠りたいお客さんも多いそうです。これはうれしいですね。
6号車まで歩き、先頭の写真を撮って、そのまま予約した6号車に乗り込みます。1週間前に先頭車のプレミアムシートを獲得できてしまいました。幸運です。いや、新型コロナウイルスの影響で泣く泣くキャンセルされた席かな。もっとも、窓側ではなく通路側です。でも通路側のほうが、運転席越しの前方の景色を眺めやすい。前向きな気持ちで乗りましょう。先頭車だけに。




ひのとりは11時ちょうどに発車しました。地下区間をゆっくり走ります。左側から線路がどんどん合流してきます。TVアニメ『銀河鉄道999』のオープニング場面のよう。ワクワクするなあ。そして地上へ。視界が開くと、車窓右手に近鉄の車両基地。名古屋駅に到着した特急列車は、いったんここまで引き上げて、次の発車まで待機するんですね。そして右側にJR東海の車両基地。こちらも新型特急車両「HC85系」がいました。鉄道ファン的には豪華な眺めです。
名古屋市街地ではJR東海の関西本線と平行します。いったん離れ、また並んで木曽川を渡ります。近鉄名古屋線は伊勢中川まで、JR関西本線、伊勢鉄道、JR紀勢本線と離れたりくっついたりのライバル関係です。
ひのとりはどんどん速度を上げて快走します。名古屋市郊外、田畑も広がる景色の向こうに工場の煙突群。四日市です。そんな近鉄四日市も通過します。停車駅を厳選して、名古屋〜大阪間の所要時間を短縮するダイヤ設定です。最初の停車駅は「津」。三重県の県庁所在地で、日本でいちばん短い名前の駅です。津を出ると、次の停車駅は何と「鶴橋」。その間約120キロもノンストップで、もう大阪の懐に飛び込みます。



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