ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月15日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナの対応を協議するため、日中韓の首脳とASEANの首脳がテレビ会議を開催したニュースについて解説した。

日中韓の首脳とASEANがテレビ会議、新型コロナ対策で連携
安倍総理)ASEAN感染症対策センターの設立など強固な連携の上に、国境を越えて感染が拡大して行くウイルスと対峙すべきだと申し上げ、各国の賛同を得ました。
日本、中国、韓国3ヵ国の首脳と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳は14日にテレビ会議を開催し、新型コロナウイルスへの対応を協議した。各国の首脳は事態の収束に向け、緊密に連携して行くことを確認。治療薬の早期開発を目指す方針で一致した。
飯田)昨日(14日)の夕方4時ごろから、およそ2時間半にわたって開催されたテレビ会議。終わった後の記者へのコメントをお聞きいただきました。アジア各国をどう抑え込んで行くか。ヨーロッパに比べると、うまくやっているようにも見えますけれど。
佐々木)そうですね。なぜか東アジアは、人口当たりの死者率や重症化率は極めて低いです。これはまだ解明されていません。BCGワクチンを打っているからだという説や、日ごろの生活習慣がヨーロッパと違うからだなどと言われますが、まだよくわかりません。アジアで感染症対策をどう共有できるかは重要なポイントです。

崩壊したグローバルサプライチェーン、食料を含めたチェーンをどうやって維持するのか
佐々木)もう1つ言えるのは、今回のことでグローバルサプライチェーンが完全に破壊されています。例えばiPhoneが典型で、製造ができなくなっている。中国の深圳市で組み立てていますが、その部品を世界各国200以上の国から調達して、それを1ヵ所に集めて消費地に流すというやり方をするのだけれど、輸出入が滞っていて部品が集まりません。さらに深刻なのは食料で、それぞれ国内で自給しなければいけない状況です。日本はどうやって中間財を調達するか、あるいは日本から中間財を各国に輸出するのか。また食料自給率が日本は低いので、食料をどう調達するのかは重要な問題です。おそらく感染症対策と同じくらいグローバルサプライチェーン、食料を含めたチェーンをどうやって維持するのかが重要な課題になって来ます。ここでASEANと連携して、食料の供給が滞らないような対策をとることが、日本としても重要です。
飯田)部品もそうだし、1国に過剰に頼り過ぎることがリスクになるのだと見せつけられた感じがします。

ドメスティックな経済回帰が起きる可能性〜産業の構造が変換せざるを得ない状況に
佐々木)そうです。それこそアメリカのトランプ大統領が、数年前に「アメリカは国内に生産を回帰する」と言って、「グローバリゼーションの時代に何を言っているんだ」と笑い者になっていたのですが、まさに、その主張がコロナによって現実的になっています。実際に日本でも、政府が国内生産を回帰させると方針を明らかにしています。
飯田)かなり大規模に補助金を出すという話があります。
佐々木)今後のある一定の時期まで、グローバリゼーションから逆回転して、ドメスティックな経済に回帰するという現象が起きるのではないでしょうか。
飯田)経済の体制そのものも、コロナ前後で変わって来るということですよね。
佐々木)そうです。例えば飲食、エンターテインメント…映画や演劇、音楽などがどうなるのかということも含めて、産業の構造がアフターコロナ、ウィズコロナと言われている時代に一定程度、構造変換せざるを得ない状況に来ている感じがします。
飯田)特に、人の集まる文化をどうするのか。
佐々木)ソーシャルディスタンスという言葉があって、人と人との間を2メートルあけると言っていますが、今後「ソーシャルディスタンスビジネス」などが台頭して来ることもあり得ます。
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