ごとん、ごろごろごろ……。ごとん、ごろごろごろ……。連結の外れた貨車が次々と坂を転がり落ちていきます。ここはロシアの操車場。日本ではもう見られなくなった貨車の仕分けシーンにハラハラ、でもその合理的な作業の様子に思わず見入ってしまいます。

ロシアのYouTubeチャンネルLIB1995が投稿した動画で、ロストフ州バタイスクにある操車場で貨物列車が仕分けされている様子を楽しめます。バタイスクはロシア南西部に位置し、鉄道の分岐点がある拠点の1つ。ここで、1〜3台目の貨車はA方面に、4〜5台目はB方面へ……などと、目的地別に貨車を仕分けます。
この貨車の仕分け方法は至ってシンプル。坂の上から貨車を転がすだけです。ゴーロゴロ。え……えぇぇ!



この操車場には貨車を転がすための人工の丘「ハンプ」があります。ハンプのある操車場を「ハンプヤード」と呼びます。仕分けする貨車は連結が解除され、機関車に後ろを押されてハンプを登ります。下り坂に入るとその貨車だけがハンプを滑り落ち、その先のポイントで行き先別に仕分けする仕組みです。なるほど、合理的です。
坂を下る貨車は線路側からブレーキをかける「カーリターダー(Car Retarder)」という設備で速度を制御しつつ、坂を下ったそれぞれの仕分線で同じ行き先の貨車と連結して完了。結構なスピードで連結しており、ここでもちょっとハラハラしてしまいます。

動画には「貨車の切り離しとポイントの切り替えがスムーズ」「この様子をぜひ生で見てみたい」などのコメントが寄せられていました。確かにずっと見ていられますよねー。
かつて日本にも「操車場/ハンプヤード」があった
日本にもかつて操車場があり、この動画と同じ様子が見られました。例えば武蔵野線に日本最大級の「武蔵野操車場」が存在しました。
しかしコンテナ輸送が鉄道貨物の主流になった結果、1984年にヤード式貨車輸送はなくなり、操車場としての機能も停止されました。


日本には現役の操車場こそありませんが、京都鉄道博物館などで当時の設備を見学できます。カーリターダーも、貨車の車輪の下にひっそりとですが……しっかり展示してあります。
【訂正 2020年6月2日】誤字を修正しました。お知らせいただいた読者の方、誠にありがとうございます。


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