映画倫理機構(映倫)が、動画配信サービス「Apple TV+」上でロゴマークを無断使用されているとTwitter上で訴えています。映倫は取材に対し「問い合わせても返事が無い状態」と、Apple側の対応に苦言を呈しています。
映倫のツイート
問題となっているのは、Apple TV+で独占配信中の映画「グレイハウンド」。映倫は同作の審査を行っていないにもかかわらず、再生時に映倫マークが表示されているとしています。編集部でも動画を再生してみたところ、確かに「映倫 PG12」というロゴが確認できました。

左上に映倫マークが確認できます(Apple TV+「グレイハウンド」再生画面より)
こうした事例はネット配信作品では初めてとのことで、映倫の担当者は「こちらとしては、マークを消してくれればそれで良いのですが……」と困惑気味。映倫側が米Appleに連絡を取ろうと国内窓口に問い合わせたところ、たらい回しのような状態になり、やっとのことで本国と連絡がついたものの、以降返答がなくなり、困ってしまったといいます(※この点について、8月3日に映倫側から訂正がありました。詳細は文末の「追記2」参照)。
「グレイハウンド」はもともと劇場公開予定の作品でしたが、新型コロナウイルスの影響でApple TV+での独占配信になった経緯があります。映倫は、当初の配給元であるソニー・ピクチャーズにも問い合わせたそうですが、作品が既にApple側の手に移っていることから協力は得られなかったとのこと。こうして、苦渋の選択としてTwitterでの告知に踏み切ったそうです。

映倫は7月16日に最初のツイートを投稿。7月27日に追記を再投稿しています
そもそも、劇場スクリーンにかからないネット配信独占作品の場合は映倫の審査は必須ではなく、配信サービス側の独自レーティングで代用可能なものです。実際Apple TV+で他の作品を見てみると、独自のレーティングロゴが表示される例も確認できたため、「グレイハウンド」だけわざわざ映倫のロゴが表示されているのは不可解です。

別の作品で確認したところ映倫マークは表示されず。代わりに左上に独自レーティングと思しき表示がされました(Apple TV+「Dads 父になること」再生画面より)
ねとらぼ編集部では7月27日にApple Japan広報部宛てに取材を申し込みましたが、回答は得られませんでした。
追記1(2020年7月28日19時10分)
2020年7月28日18時50分ごろ、PCからの再生で映倫ロゴが消えているのが確認できました。なお、27日まで表示されていた映倫ロゴは元映像に書き込まれたものではなく、サイト上の仕様で再生時に一時的に浮かび上がる仕様となっていました。

(Apple TV+「グレイハウンド」再生画面より)
追記2(2020年8月3日12時30分)
映倫は8月3日、Apple側から連絡があり、映倫が審査したかのように誤解を与えかねない表記を全て修正し終えたと説明があったことを明かしました。これまでは「18+」「15+」といった表記に加え、映倫が使用している「R18+」「R15+」といった表記も混在していたとのこと。
映倫に追加取材を行ったところ、Appleから最初に連絡があったのは7月28日16時30分ごろ。また、映倫は当初「本国と連絡がついたものの返答がなかった」と説明していましたが、厳密には「本国のアドレスを案内されたが、らちがあかないと判断しツイートに踏み切った」と、7月28日時点のコメントについて訂正しました。
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