同人誌印刷会社を応援したいという思いから、『虚無』という名の中身が白紙の本を生み出すTwitterユーザーが現れ注目を集めています。これぞ同人作品……!

生み出された『虚無』本

中身はどこまでも白紙。まさに虚無……!
タイトルの破壊力よ
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響により、同人誌即売会が中止になったことで印刷受注が減り、売上が大幅減少している印刷会社(関連記事)。一方で作家側も、同人誌を刷って応援したいけれど、いまは頒布できるイベントもなく、締切がないとやる気もなかなか出ない……。そんな状況で、「印刷所さんに貢ぎたい」という思いと勢いで作られたのが『虚無』です。
作者は、ぽめり(@66pomeri)さん。全ページ「ほぼ白紙」ながら本の装丁にはこだわり、艶消し金の箔押し加工による表紙カバーの「虚無 -kyo mu-」の文字、また「108ページの虚無に、あなたは耐えられるか――」という謎にかっこいい言葉が書かれた帯も付いています。さらにカバー裏(本体の表紙)には特殊紙の「五感紙 荒目」を使い、多くの感情のこもった言葉とともに、“虚無”が空押し加工によって表現されています。

無いものは無い

カバー裏のデザインも良き

空押しの「虚無」が無駄にかっこいい
ちなみに『虚無』はA5/2段組の“幻想小説”であり、第一章「遭遇」、第二章「喪失」、第三章「邂逅」、終章「出立」という目次もあるようです。「目次に従って自分だけのストーリーを読み進め……いやむしろ書いてみよう!」という発想が新しい。

白紙なのに目次がある斬新なスタイル
そんな白紙小説ですが、ネットショップのBOOTHにて340円という価格で予約販売を行ったところ、あっという間に当日中に完売。ぽめりさんに伺うと、同誌は100部作ったそうで、「正直、在庫を抱えるつもりで注文したのですが、結果的にたくさんお求め頂けて光栄でした!笑」と驚いている様子でした。
なお、「正直作れば作るほど赤字なので、再販は考えていません」とのことです。確かに凝った装丁の108ページの“メモ帳”が約300円と考えると安い……。

帯のセンスよ

本文は「黒と白の対比」を出すためにあえて白色にしたそうです(小説系の本には通常「クリーム」系紙がオススメとのこと)
コメントでは「その手があったか!」「素晴らしい作品」「これは欲しい」などの声のほか、今回のある意味で趣味全開の本をきっかけに「初めて本を作ってみようと思う」といった人の声も多く寄せられたそうで、“虚無”からさまざまな“物語”が生まれるアツい展開となっています。
『虚無』の詳しい装丁や印刷会社に関してもっと知りたい方は、ぽめりさんがツイートしているので、そちらも参考にして本を作ってみるといいかもしれません。

こちらはカバー表面のデザインボツ案とのこと。こっちもかっこいいな……
画像提供:ぽめり(@66pomeri)さん
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