おじさんたちのワチャワチャ再び
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――え? 台本がないって、どういう状況ですか? 作品の構成からすると考えられないですが、台本はいつできたんです?
松居 もう本当に、普通じゃないです(笑)。映画はクランクインの1週間前くらいで、むちゃくちゃギリギリでした。さらにドラマはインする前日とか、前々日。間に合ってない日もあって、めちゃくちゃでしたねぇ。スタッフも準備できないし、役者もせりふを覚えられないですし、ただただ「バイプレイヤーズなんで」って謝り方しかできない状態。
これまでのシリーズもそうですが魅力的な役者さんたちに出ていただくために、プロデューサー陣が、とにかくキャスティングをギリギリまで粘る。それこそ「明日、誰々さんが出られることになって、いらっしゃいます」ってなって、映画にはまだその方が出ると決まってなかったけど、出したいってなるわけです。
「じゃあどこで出演してもらえるんだ?」と、その人が出るような差込み台本を作ってスケジュールに組み込んで、「こういうことなんです」と説明しに行って……。100人以上の役者に出演してもらうための、つじつま合わせというか、それは本当に大変でしたね、これまでやったことない作業でしたし。でも、そうしてすてきな役者さんが出演してくれて、準備時間が足りない中でもスタッフが頑張って作品ができていくのが、「バイプレイヤーズ」の魅力でもあるので。
――それはとんでもない現場ですし、キャスティングされた役者さんたちが「どんな状態でも、対応できる」ってレベルじゃないと、できないことですよね。
松居 できる方たちなので「これ、どこに入るの?」「これこれのシーンの後です」「はーい」って感じで、軽やかにカメラの前に立ってくださる。それだけの実力があるキャストが集まるからこそ、楽しいドラマになっていると思います。
ただ、よく見たら「あれ? 衣装がつながってないな」とか、「シーンが変わったら、いきなり髪が伸びてる」とか、絶対あるんですよ。ちょっとそこは見ないでほしいというか、「違う日に撮ったんだな」というのには、目をつぶってもらえると(笑)。

――いや、それはむしろ楽しみとして、積極的に探したいです!(笑)そんな大変な現場でしたが、逆に監督として幸せに感じる場面はありましたか?
松居 このご時世で気を付けないといけないことも多くてピリつく部分もあったし、大変なことも多かったんですけど、やっぱりカメラを回しているときの役者さんたちが、本人役とはいえ軽々と台本を越えていって、本当に遊んでくれているんじゃないかって演技を見たときは、うれしいなって。
基本的におじさんたちは、台本通りやらないし、演出通りにやってくれないし、好き勝手にやるんですよ(笑)。例えば1話ですが、松重さんと濱田くんが台本に全くない、それぞれのテレ東主演作についてフリートークをし始めて……普通なら見られないものが、ドラマの1シーンとして成立しちゃう。そういう「バイプレイヤーズ」の現場を皆さんが楽しんでくれて、面白いものができていくところに、幸せを感じました。
きっと漣さんが「バイプレイヤーズ」というものを守ってくれていて、僕らがそれを引き継いで作っている。めちゃくちゃな現場で、撮影スタッフも仕上げチームも本当に大変だったと思うんですけどシリーズから引き続きの人が多くて、ちゃんと理解もあるし、愛もある。そういうところも幸せでしたね。