「ずっと後悔していることがある」と心残りを漫画にしたセキサトコ(@satokom_gallery)さん。それは亡くなったお祖母ちゃんとのエピソード。祖母の認知症をきっかけに“はたらく”ことについて考えたお話が心にじーんと響きます。

現在はイラストレーターとして働くセキさんが会社勤めをしていたころのお話。祖父母・父母と5人家族だったセキさんの実家では、セキさん親子のうち一番早く帰宅した人が晩御飯を作るルールでした。
ところが仕事を終えたセキさんが台所に向かうと、そこにはいつも何か一品作ろうとしている祖母の姿が。共働きの子ども夫婦に代わり家族の胃袋を支え続けてきた祖母は、体が弱ってもなお食卓に貢献しようとがんばっていたのでした。


しかし、健康だったころのようには体が動かせず、簡単なおかずを一品作るだけのことに一時間以上かかることも。そんな様子を隣で見ていたセキさんは、次第にイライラを募らせていきます。
「素直に甘えてくれたらいいのに…」「私がやった方が早く終わるのに…」
そんな思いを心のうちにとどめておけなくなったセキさんは、つい祖母につらくあたってしまいます。「私がやる」と仕事を奪ってしまうセキさん。それは大事な家族にしんどい作業をさせたくないという思いやりもあってのことでしたが、台所に立つ機会が減った祖母は認知症の兆候を見せ始め……。


祖母の死後、さまざまな経験を重ねるうちに、セキさんは“はたらく”ことが人間の生きがいにもなりうるのだと気付きます。祖母の仕事を奪ってしまった当時は「はたらかなくて済むならはたらきたくない」と考えていたセキさんでしたが、それは当時まだ社会に出たばかりで、誰かから必要としてもらえるのが当たり前だったからこそ生まれる発想。
過去を振り返り、「自分は役に立てないのだと思ってしまった祖母はどれだけさみしく悲しかったろう」とどうしようもない後悔を抱えるセキさん。もう会うことのできない祖母の顔を思い浮かべながら、「必要としてもらえる限りはたらき続けたい」「小さなことでも頑張りたい」と、いま目の前に“仕事”があるよろこびと向き合うのでした。

作者のセキサトコ(@satokom_gallery)さんは山口県在住のイラストレーター。Twitterやnoteに漫画を公開しています。
画像提供:セキサトコ(@satokom_gallery)さん
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