映画「ハリー・ポッター」シリーズでチョウ・チャン役を演じた女優ケイティ・ラングが3月9日、シリーズへ出演時に受けた人種差別の存在を告白。ポッドキャスト番組に出演し、アジア系俳優が当時置かれていた状況を明かしました。

チョウ・チャンは秀才ぞろいとされるレイブンクロー寮に所属するキャラで、主人公ハリーにとっては忘れられない女性。初恋に戸惑うハリーと一緒にときめきを経験した同世代のファンも多いのではないでしょうか。
当時はハリウッド大作の出演者にアジア系が含まれることが珍しかった時期。「ハリー・ポッター」も例に漏れず、メインキャストの大半を白人俳優が占める中でチョウの存在は目新しく、中国系だというMCの女性にとって彼女は自分を重ねられる希少なキャラで「初めて夢中になったセレブ」と振り返っています。
しかしケイティは撮影現場を盗撮した写真でキャスティングが明らかになった当時、猛烈なバッシングにあったと告白。ハリポタ“ファン”が集うサイトには人種差別を含む悪口が次々と書き込まれ、彼女は降板すべきとの意見を集う投票サイトがオープン。さらにエージェントに相談しても「そんなサイトは見つからない」ととぼけるばかりでまともに対応してもらえず、メディアから質問を受けても「差別はありません」と答えるよう促されたと告白しました。

2020年以来、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が中国から広まったとの考えから、各国でアジア系住民への差別が激化。憎悪犯罪の被害に遭うケースが増え、ダニエル・デイ・キムやオリヴィア・マンらアジアにルーツを持つ著名人は事件被害者のため、報奨金を設けて情報提供を求めるなど差別反対の声を上げてきました。
香港にルーツを持つケイティがこのタイミングで過去の出来事を告発したのも、彼らに続く行為と見なすネットユーザーは少なくありません。現在の地位を得る助けとなった作品へ感謝の気持ちはあるとしながら「心が折れて泣いてしまった」「本当にひどい気分だった」と10代当時を振り返ったケイティへ「差別された上にうそをつくよう強制されるなんてひどすぎる」と同情する声が上がっています。
特に大人から口をつぐむよう促されたという部分が強く問題視され「アジア人は差別されていないと思い込む人がどんなに多いことか」と怒りの声が上がっています。また「スター・ウォーズ」ファンから猛烈なバッシングを受け、SNSをやめるまで追い込まれたケリー・マリー・トランの例を挙げ、「今に始まった問題ではない」と根強さを指摘しアジア系俳優の地位向上を訴えるツイートも見られました。
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