お風呂に入浴剤を溶かすと文学作品の一節が浮かぶ、その名も「文字入浴剤」がすてきだと話題です。お風呂につかりながら水の中に浮かびあがった文字を眺める不思議な体験──。



「文字入浴剤」は彫刻家・高村光太郎の随筆『永遠の感覚』の冒頭部分を印刷したOHPフィルムと入浴剤を小さなビニール袋に封入した作品。お風呂に入れると入浴剤だけが水に溶け、半透明の素材に印刷された文字が浮かび上がっているように見えます。
Twitterで「文字入浴剤」を発表したのは、今村昼寝さん(@nanchakuriku02)。入浴剤の使用後も文字が残るようなものにしているのは、「作者の息遣いを感じられる、ある程度まとまった文章と向き合えた方が私はうれしいと感じるため、文章の形は保ちたくこのような形を取った」と語っています。

6月28日に投稿されたツイートには、6万以上のいいねが集まり「すてき」「商品化してほしい」などの声が寄せられています。中には「もう少し字を大きくしてもらうと読みやすい」といった改善案も。反響を受け、今村昼寝さんに「文字入浴剤」の開発のきっかけなどを聞きました。
── 開発のきっかけを教えてください。
今村:静かな場所で1人で本と向き合うのが好きだったので、「いろんな意味で一番1人になれるお風呂」で、両手で水を掬うように大切に本と向き合えたらどんな体験になるかなと興味を持ったのがきっかけです。

高村光太郎の『永遠の感覚』と『触覚の世界』が印刷されたフィルム
コロナ禍で電子書籍を利用するようになったのですが、本の表紙の横で大きく他人のレビューの星の数が主張している状態にずっと違和感がありました。試し読みをして面白そうでも、星の数が3つだと、「面白そうだけどなんで星3つなんだろう……」「星3つの理由がどこかにあるよね……」と読んでしまう傾向に寂しさを感じていました。
他人のレビューや評価に左右されずに、一対一で本と向き合う方法や、新しい本との出会い方を検討する中で出たアイデアの1つを形にしたものが「文学入浴剤」です。
文学作品の一節が雨のように降り注ぎゆっくりと消えるサイト「雨降りと文学」もアイデアの1つ
── 入浴剤はどんな香りがするのでしょうか。また、販売の予定はありますか。
今村:現段階では私の好きな森林の香りです。もともとは自分や本好きの友人のために作ったものですが、予想以上に反響をいただいたので、販売も考えています。まずは、今回発信した内容へみなさまから寄せられたフィードバックを元に改善をしたいと思います。
お風呂の間、「文字入浴剤」により出会った言葉や表現とじっくり向き合うだけではなく、上がった後に作品を実際に読むといった楽しみ方もできそうです。
作品提供:今村昼寝さん(@nanchakuriku02)
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