近年、街中で電気自動車が身近になってきました。営業路線で実際に活躍する最新式燃料電池型の電動バスもじわじわと増えてきました(関連記事)。

でも実は数十年も前から、各国の街中で「トロリーバス」と呼ばれる電動バスが活躍しています。日本でも、高度経済成長期まで各都市で活躍していました。今回は排気ガスを出さない電車のようなバス、トロリーバスのお話です。
電車のようなバス……? それともバスのような電車?
トロリーバスの外観は、ある一点だけを除くとよくある路線バスと変わりません。屋根にあるポール(トロリーポール)と動力源の仕組みが大きく違います。
トロリーバスは営業路線となる道路上に張り巡らせた電線にトロリーポールを接触させ、そこから電力を得て走ります。仕組みはパンタグラフで集電する一般的な電車と同じ。道路を走る公共交通機関としては、路面電車と路線バスの間という感じですね。
実際にトロリーバスに乗ると、走行音はまるで電車。見た目はバスですが、乗っている感覚は電車という面白い乗りものです。
それではトロリーバスはクルマなのでしょうか、それとも鉄道なのでしょうか。答えは「鉄道」です。
トロリーバスは「鉄道事業法施行規則」第四条で定めるところの「無軌条電車」に該当します。
国内でのトロリーバスの歴史はかなり古く、1928(昭和3)年に花屋敷駅(現阪急雲雀丘花屋敷駅)〜新花屋敷間約1.3キロで開業したのがはじまりです。戦後には横浜市や大阪市といった大きな都市でもトロリーバスが広く活躍しました。
しかしエンジンバスに比較すると架線された場所でしか走れないので、運行面で融通が利かず、自動車交通網の発達や需要の変化とともに日本では高度経済成長期に姿を消しました。
ただ、近年まで日本でもトロリーバスが活躍する路線がありました。観光名所、黒部ダムに至る「立山黒部アルペンルート」です。山岳地区での自然保護の観点から電気で動くトロリーバスに白羽の矢が立ったのです。
50年以上活躍してきた立山黒部アルペンルートの「関電トンネルトロリーバス」(黒部ダム〜扇沢)は、2018年に惜しまれながら運行を終えました。翌年から充電バッテリー式(いわゆるEV)の電動バスに変わり、2021年現在は立山黒部貫光が運行する室堂〜大観峰間で走っています。
ちなみに黒部ダムといえば先日、2024年度にもう1つのルート「黒部ルート(通称)」の一般開放が決まり(関連記事)、ダムファン、乗りものファン、観光ファンが歓喜しています。こちらは黒部峡谷鉄道の終点、欅平(けやきだいら)駅から、工事用トロッコ電車や竪坑エレベーター、蓄電池機関車による列車、インクライン(ケーブルカー)、専用バスを乗り継いで黒部ダムに至るルート。実現が楽しみです。

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