サラリーマン、プリキュアを語る：「映画トロピカル〜ジュ！プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪！」　ハトプリ共演だけじゃない、映画としての完成度の高さ

　ギャグ満載で明るい作風の「トロピカル〜ジュ！プリキュア」。その映画でこんなにも心が揺さぶられるとは思いませんでした。本気で泣きそうになりました。

　この映画、もちろんいつもの明るく楽しい「トロピカル〜ジュ！プリキュア」でもあるのですが、雪の王国を舞台に、しっとりとした新しい「トロピカル〜ジュ！プリキュア」の魅力も描かれているのです。

　1粒で2度おいしい。いや「ハートキャッチプリキュア！」の共演もあり1粒で3度おいしい作品となっているのです。

　常夏のイメージの強い「トロピカル〜ジュ！プリキュア」がなぜ、雪の世界を舞台としたのか？　「ハートキャッチプリキュア！」の4人はどう物語に絡み、どの程度の出演だったのか？　実際に映画を4回見た筆者が記していきたいと思います。

　※映画の内容に関するネタバレはありません

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。

• これまでのプリキュア連載一覧

　2021年10月23日、「映画トロピカル〜ジュ！プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪！」が公開となりました。プリキュア映画通算30作目となる今作は、「トロピカル〜ジュ！プリキュア」（以降トロプリ）の5人が「雪の王国シャンティア」を舞台に大活躍します。

　監督は「フレッシュプリキュア！」のシリーズディレクターをはじめ数々のプリキュア作品を手掛けてきた志水淳児さん、脚本もプリキュアシリーズではおなじみの成田良美さんと、プリキュアを知り尽くした鉄壁の布陣となっています。

　また、本作では2010年放送の人気作「ハートキャッチプリキュア！」（以降ハトプリ）との共演も大きな話題となっています。

子どもたちの反応

　自分は公開初日、地元の映画館の朝イチの回を見に行きました。まだまだコロナ禍が続く中、お客さんは8割程度入っていたでしょうか。プリキュア映画としてはなかなかの大入りでした（後述しますが初動の興行収入もかなり良かったようです）。

　見終わった後の周りの子どもたちの反応もとても良く、みんなニコニコでスクリーンを後にしていました。コロナ禍の影響で今作も「ミラクルライト」を使用しての応援は出来ませんでしたが、代わりに中学生以下の子どもたちには作中でもキーアイテムとなる「スノーハートクルリング」が配布されました（さらに先着10万人には「トロピカるハートイヤリング」も配布されます）。

「ハートキャッチプリキュア！」の登場場面はけっこう多い

　今回のトロプリ映画は「ハートキャッチプリキュア！」との共演が話題となっています。

　「ハートキャッチプリキュア！」はNHK全プリキュア大投票の作品部門でも初代「ふたりはプリキュア」に次いで2位につける大人気作で、大人のファンも多い作品です。

　ファンからみれば、ハトプリ勢はトロプリの5人とどんな絡み方をするのか、どれくらい出番があるのか、というのは気になる点かと思います。

　結論から言うと「ハートキャッチプリキュア！」にはたくさんの出番が用意されています。

　「ゲストで少し登場して、ちょっと一緒に戦う」といったレベルではなく、最初から最後まで出演し物語にも関わります。来海えりかは相変わらず来海えりかで物語をかき回しますし、「こころの花」や「ファッション」といったハトプリ要素もストーリーを盛り上げます。

　トロプリ、ハトプリ両チームの雪遊びのシーンに始まり、ローラとえりかの“ある意見の対立”からストーリーが動き出しますし、「まなつとローラ」「つぼみとえりか」の関係の対比もストーリーの核として描かれるなど、まさに2チームが「こういうのが見たかった！」と思わせる共演をするのです。

　（とはいえ、きちんと「トロピカル〜ジュ！プリキュア」の映画としても成り立っているので安心してください）。

　前作「映画ヒーリングっど・プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」（「・」はハートマーク）でも「Yes!プリキュア5GoGo!」がゲストで登場しましたが、戦闘シーンでの共演がメインで日常シーンではあまり絡みが見られなかったのですが、今作では日常シーンでもトロプリ勢とハトプリ勢がカッツリと絡みます。

　これは子どもたちにとっても、そして両作品のファンにとってもとてもうれしいことなのではないかと思います。