「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】:復刻駅弁
鉄道150年を記念して、全国の駅弁各社31社が“復刻”をテーマとした駅弁を販売しているこの秋。名古屋駅の駅弁売場では以前から通年で「復刻弁当」が販売されています。そのレトロな掛け紙は、昔を知る人には懐かしく、若い世代は新鮮な印象を受けるもの。今回は乗り換えの途中で、久しぶりに手に取りました。
名古屋〜長野間を約3時間で結ぶ特急「しなの」号が、中央本線を勢いよく駆け抜けていきます。「しなの」といえば、車体を傾けることでカーブでもスピードを維持して走ることができる、振り子式の電車でおなじみです。「しなの」に振り子式電車が投入されたのは、昭和48(1973)年のこと。現在の車両は、平成7(1995)年に営業運転を開始しました。振り子装置の改良や自己操舵機構によって、カーブの乗り心地が大幅に改善されました。
「しなの」の始発駅・名古屋駅の松浦商店「復刻弁当」(790円)は、レトロな掛け紙が施された、昭和の幕の内弁当をベースとする駅弁。いまは、85年前の昭和12(1937)年に使われた名古屋汎太平洋平和博覧会記念の掛け紙が復刻されています。描かれている名古屋城も、当時は江戸時代からの「国宝」。その横を軍用機と思しき飛行機が飛んでいく様子に時代を感じられます。博覧会の閉幕後、程なく日中戦争が勃発。8年後には、名古屋城も焼け落ちてしまったことを考えると、少々切ない気持ちになります。



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