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「愛がなんだ」「窓辺にて」などで知られる今泉力哉監督が、豊田徹也さんの漫画『アンダーカレント』を映画化。2023年秋に公開されます。

豊田徹也さんの漫画『アンダーカレント』は、2004年から1年間『月刊アフタヌーン』(講談社)で連載。家業を継ぎ、銭湯をきりもりする夫婦と、夫の失踪後、銭湯で働き始めた男。夫の失踪の謎を追うにつれ浮かび上がってくる事実と、誰の心にものぞくことができない“底流”があるという事実が描かれ、人間という生き物についての深い洞察が「まるで1本の映画を観ているようだ」「何度も読み返したくなる」と高い評価を受けた作品です。
豊田さん唯一の長編漫画である同作は2005年10月にコミックスが出版。その後、2009年にパリで開催されたジャパンエキスポでは、フランスの批評家と記者が選出する「第3回ACBDアジア賞」を受賞、2010年には「漫画界のカンヌ映画祭」と呼ばれるフランス・アングレーム国際漫画祭のオフィシャルセレクションに選出されるなど、フランスを中心に海外でも人気を博しています。
コミックスの発売から18年。映画化に当たりメガホンを取るのは、恋愛映画の名手として知られる今泉力哉監督。また、『愛がなんだ』で脚本を手掛けた澤井香織さんが今作では今泉監督とともに脚本を手掛けています。
なお、これを受け、入手困難となっていた『アンダーカレント』単行本の重版も決定しました。
今泉監督のコメント
この世界にはそれが存在することで誰かが救われるという作品があって、そして、そういうものを生み出す人がいて、豊田徹也さんの『アンダーカレント』はそういう漫画で、豊田さんはそういう人だ。映画化にあたり、豊田さんと何度もふたりきりで会っていろんな話をした。はじめて会った日に4時間お茶をしたのだが、まだまだ話し足りなかった。帰り際、原田芳雄さんのエッセイ『B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ』をいただいた。豊田さんは「僕はいいんだけど、登場人物が嫌な思いをしない映画にしてください」と言った。登場人物が嫌な思いをしないように。とってもすてきな言葉だと思った。コロナ禍でお茶をしたある日、会計時に自分の分のコーヒー代を、きっとこういうご時世だからだろう、衛生面からラップにくるんでご用意してくださっていて。この繊細さをきちんと映画にしたいと思った。私はキリスト教徒なのだが、熱心な信者ではなくて、それでもたまに教会に行くと心が澄む感覚になるのだが、自分にとっての豊田さんはそういう人で、会うと心が澄む。とても繊細で面白い方で、日々、自分は映画監督に向いていないなと思いながら映画をつくっているのだが、こういう原作の映画化の話が来ることはとても光栄だし、きっと器用に生きることができない人にしか生み出せないものがあると信じて、これからも生きていきます。かなえや堀も、今もどこかで元気でいてくれたら。
(C)豊田徹也/講談社 (C)2023「アンダーカレント」製作委員会
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