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冬はこたつに入ってぬくぬくしながらみかんに手を伸ばす……みかんは寒い時期に目にもうれしい明るい色ですね。では春の訪れとともにみかんは影をひそめてしまうのでしょうか? いえいえ、みかんのおいしい時期はまだまだ続きますよ。今回は身近で奥深いみかんを応援する学生さんたちが作ったご本です。
今回紹介する同人誌
『みかんのすゝめ』A4 36ページ 表紙・本文カラー
著者:東大みかん愛好会

「消費量を増やしたい!」学生さんたちによるみかん愛好サークルから生まれた同人誌
こちらのご本は、日本のみかんの消費量を増やすのを目標に設立された学生サークル、東大みかん愛好会さんによって作られています。東大みかん愛好会さんはインカレサークル(複数の大学の学生さんが参加しているサークル)で、2022年時点では関東圏を中心に270人ほどの学生さんが所属しているそうです。
フルーツの中でもとりわけ日常になじんだみかんのためにそんなに多くの学生さんが!? と驚きましたが、実はみかんの消費量は1970年代の全盛期に比べると5分の1にまで減ってしまっているのだそうです。その事態を変えるべく集まったみかん好き学生さんたちの力が誌面に集結しています。

会員の声を生かした充実のみかんレビュー
ご本の内容は大きく2章に分けられ、まず第1章では「みかん図鑑」でみかんの魅力をダイレクトに伝えます。名前、交配の種類などの情報とともに、愛好会内のアンケートをもとにした甘さ、酸味、香り、大きさ、価格のチャート、愛好会員さんたちの感想が示されます。多くの会員を有するだけあって、みかんのみならず、オレンジなどのかんきつ類も合わせてその数28種類のレビューは細やかです。
「アルベドがはじめてうまいと感じた」「強烈な酸味」といった味わいについてのほか、場合によっては「食べたことがない」なんてコメントが混じるのも、ある意味現代の大学生の感覚と流通事情に思いをはせるきっかけかもしれませんね。なおアルベドとは、みかんの身と皮のあいだの白い部分のところで、このような用語についてもきちんと説明が添えられているので、決して置いてけぼりになりません。

多彩な活動の前向きさが余韻に
変わって第2章では、サークルのメンバーが実際にどのような活動をしているのかを紹介しています。園芸の組合さんと連携して小学校へ出前授業をしたり、大学祭に合わせてクイズ大会を開催したり、産地の訪問やボードゲームの開発をしたり……と、実にいろんなチャレンジをされています。
それぞれに実際に携わった方が記事を執筆されているのですが、各企画の楽しい点とともに反省点もしっかり書かれおり、それが「次回は……」と未来へ向かって試行錯誤されているのが、前向きなすがすがしさを余韻に感じさせます。多くの学生さんたちの力を上手にブレンドしたさわやかみかん同人誌、これからの季節だってみかんに出会うのが楽しみになりそうです。


ゲームマーケットへの参加や産地訪問などさまざまな活動が
サークル情報
サークル名:東大みかん愛好会
Webサイト:http://mikanfan.club
今週の余談
知っているみかんの姿、知らないみかんの姿……意外さもたくさん感じるご本でした。偶然に出会うだけじゃなく、みかんとの出会いを探したくなりましたよー。
みさき紹介文
公共図書館、専門図書館に勤務していた元司書。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。
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