夏といえば怖い話。とても古い時代から続く夏の風物詩で、もともとは「お盆に現世へと帰ってきた、少なからずいる浮かばれない霊へ対する鎮魂」という意味を持っていたそうです。
そこで今年は「ねとらぼ怖い話特集・2023年」として、読者やライターが実際に体験した怖い話を、5夜連続で皆様にお届けします。過酷な暑さが続いていますが、ほんの少しでも涼を取っていただければ幸いです。
さて、第3夜は読者のEL。さんが寄せてくれた、奇妙な金縛りのお話です。

金縛りを引き起こしたものとは?
10年ほど前に体験したお話です。
その日の夜は、自分の部屋のベッドで寝ていたのですが……とつぜん金縛りに遭いました。もちろん身体は動かせず、目も開けられません。ただひとつ、耳元に何者かが顔を近づけているかのように「スゥー……ハァー……」という呼吸音だけが聞こえていました。
どれぐらい経った頃でしょうか、ベッドから何かが落ちる気配……なんとなく「人間の頭ぐらいの大きさのもの」だと思ったのですが、その気配がしたと同時に金縛りが解けました。
とりあえず起き上がって、何かが落ちたあたりを見てみたところ、しばらく触っていなかった「ホラー系のテーブルトークRPGのルールブック」が落ちていたんです。もしかしたらこのルールブックが、放置されて怒っていたのかもしれませんね。

投稿者:EL。さん
――EL。さんのお話から思い出した、筆者(たけしな竜美)の金縛り関連の体験談がありますので、こちらも併せてお楽しみいただければと思います。
怪異・怒りの金縛り
筆者が、出先のビジネスホテルに泊まったときのお話です。
ベッドに入ってうとうとしていたところ、窓の方からガタガタ、ガタガタと、何かが揺れているような音が聞こえてきました。きっと風が吹いているのだろうと思い、無視して放っておいたのですが……しばらく経ってもその音が止みません。
ずいぶん長いな、おかしいな、と思った瞬間でした。「おい!! 聞こえてんだろ!?」という男の怒鳴り声がすると同時に、全身に弾けるかのような感覚を覚えた後、金縛りに遭ってしまったのです。
その後は身体は動かせず、目も開けられませんでした。部屋の中では、何者かがドスドスと大きな足音を立てながら、ベッドの周りを歩いているようです。
これは参ったな、どうしようか、と思いながらも、一方で冷静な自分がいました。「金縛りは身体が寝ていて、脳だけが起きている状態」……つまり夢を見ている状態なのだから、このまま寝てしまおうと考えつき、眠れないときにしていた呼吸法や自己催眠などを繰り返し行いました。
その後はなんとか眠ることに成功したようで、目が覚めたときにはすっかり朝になっていました。ですがさすがに気になったので、その音がしていた窓を確認してみたのですが……そこには揺らせそうなものどころか、ガタガタと音が出せそうなものもなかったのです。
構成・記事:たけしな竜美(@t23_tksn)
ねとらぼ怖い話特集・2023年
- 第1夜:墓園で目撃したおじさんが……
- 第2夜:とつぜん妻の顔が真っ青に……
- 第3夜:金縛りを引き起こしたものは……?
- 第4夜:部屋の外から自分を呼ぶ誰かの声が……
- 第5夜:窓の方から「ちりん、ちりん」、音がだんだん大きく……
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