「プリキュア20周年」とは何だったのでしょうか。
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「大人向け」施策が多かったプリキュア20周年
こうして見てみると「プリキュア20周年」の施策は主に「大人」に向けていたことが分かります。
「全プリキュア展示」「オトナプリキュア」「Dancing☆Starプリキュア」は、公式サイドからも、「かつてプリキュアを見ていた女の子」がメインターゲットであることが公言されています。
一つは、初期シリーズのプリキュアのオトナになった姿を描くということ。
そこから、子どもの頃に「プリキュア」を観ていた人がメインターゲットになるということが決まっていました。
(徳間書店『アニメージュ2023年11月号』P81)
その思惑の通り、これらの施策は若い女性のお客さんで大いににぎわいを見せました(自分も実際に行ってびっくりしましたが「全プリキュア展」や舞台「Dancing☆Starプリキュア」は、8〜9割近くが若い女性のお客さんでした)。
20周年を機に「若い女性」に再度プリキュアを認識してもらう、という戦略は成功したものと思われます。
各々の「子ども時代の思い出のプリキュア」を語る姿が、現実でもネット上でも数多く見られ、たくさんの(本当にたくさんの)キャラクターグッズの供給は、従来の大人のプリキュアファンを歓喜させました。

しかしその分、このプリキュア20周年は、「子ども向けの施策」に関しては、例年通りの展開はされたものの、20周年の特別な子ども向け施策は積極的に行われていなかった印象を受けます(横浜のパレードなどファミリーで楽しめるものもありましたけどね)。
この「大人向け」に大きく力を入れたことが、「トイホビーは苦戦」「国内版権は好調」といった数字の要因の一つになっているのではないでしょうか。

深刻な少子化
厚生労働省の人口動態調査を見ても、コロナ禍以降、ここ数年の少子化はかなり深刻な状態となっていることが伺えます。

2022年の出生数は77万人。「1年で生まれる子どもの数」は13年前の109万人と比較して32万人も減少しています。
さらに、子どもの関心事が「アニメ」「おもちゃ」だけでなく「YouTube」など多様になってきていることもあり、「子ども向けにテレビアニメを放送して、おもちゃなどの関連商品を買ってもらう」というビジネス形態は、ここ数年の女児向けアニメの市場の縮小を見ても、この先の成長はなかなかに難しいものと思われます。
豊富なIP資産をオトナに向けて
プリキュアも「子ども向け」だけでは、市場が縮小していくことは免れません。そこで「かつてプリキュアをみていた人」に、この20周年を機に戻ってきてもらい、市場を拡大していく、という戦略は確かに良かったものと思われます。
幸いにもプリキュアには20年の歴史が存在し、20作品でメインのプリキュアだけでも78人ものキャラクター、妖精や敵キャラなども加えるとキャラクターの資産はとんでもなく豊富にあります。いくらでも「オトナ」に向けた展開が可能だと思われます。

ただ、プリキュアは「子ども向けアニメーション」として、子どもたちに真摯(しんし)に向き合っているからこそ、保護者にも支持され、大人のファンがついているという側面もあります。この先も、プリキュアの基本は「子ども向け」であり、その周りに「大人向け」が存在していくのでしょう。
「子ども向け」だけでは限界がある。その兆候はここ数年で見られていました。
この先のプリキュアが、「子ども向けアニメ」を主軸としながら、「キャラクター資産をオトナに向けて積極的に展開していくよ」、という強い意志を感じた「プリキュア20周年」でした。

