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高知県の郷土食である皿鉢(さわち)料理のおせちに添えられているビビッドなカラーのようかん。この季節になるとX(旧Twitter)などのSNSでちょっとした話題になります。このようかんについて高知県の郷土料理研究家に歴史や味などについて聞いてみました。

皿鉢料理(画像:PIXTA)
皿鉢料理は直径40センチほどの大皿に刺身や鰹のたたき、寿司や煮物を豪華に盛り付け、小皿に取り分けて食べる高知県の伝統的な食文化です。
そこに添えられているのが、まるでピンクや緑のネオンカラーのような色彩の羊羹です。SNS上では「ゲーミングおせち」など他の地域出身のユーザーからは驚きの声が多く寄せられ、地元の人でも「とっても美味しいのに家族の誰も食べない」「『皿鉢の三色羊羹』と聞くと老若男女ほぼ厭そうな顔をするのに廃れない一品」と好みが分かれるようです。
話題のようかんについてお話を伺ったのは、土佐料理の伝統を次世代に伝えようと活動している「土佐伝統食研究会」会員の三谷英子さんです。
カラフルようかんの歴史は?
――いつごろから、こうした色彩のようかんがあるのでしょうか。
三谷英子さん もともと、皿鉢料理は土佐藩の時代から続いているものですが、箸休め的なものとして、ようかんが入っている場合が多いです。このカラフルなようかんはニッキ水で着色したのが始まりで、昭和25年(1950年)にはあったという板前さんの証言もあります。
皿鉢料理は鰹のたたきや煮物などといったものが多く、盛り付けに派手さを求めた料理人の着想だと思います。豪華なものをみんなで食べるというなかに驚きを演出したかったのでしょうね。

皿鉢料理(画像:PIXTA)
――高知県のおせちとしては定番なのでしょうか?
三谷英子さん 普段も県内のスーパーで見かけますが、年末になると売り場が大きくなって、ずらっと並んだカラフルな見た目に他の地域の方からしたら驚かれるのかもしれません。ようかん自体は水ようかんですので、日持ちがあまりしないので高知県外には流通していないと思います。いろいろと面白いネーミングで呼ばれることも多いのですが、地元の方は「あの三色ようかん」と呼ぶことが多いです。
お皿の中にあるとうれしいし、どこかほっとします。逆にないと寂しいですね。
年末に地元スーパーに並ぶようかん
――どんな味がするのでしょうか?
三谷英子さん ニッキが入っていますのでピリッとしていますが、その中にさっぱりとした甘さがあり、お酒と一緒にいただくという感じです。
ただ、県内でも生産業者が減っていて、一本のようかんに三色が重なったものは今は1社しか製造していないようです。
土佐料理の飲食店では皿鉢料理の盛り付けにこのようかんを提供しているお店も多くありますので、ぜひ高知県へお越しの際は食べていただきたいですね。
年末年始に帰省する人も多いと思いますが、それぞれの故郷の懐かしい味に舌鼓をうちながら過ごすのも楽しみの一つではないでしょうか。
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