2月2日付の米USA Today紙への広告に、300人近いアーティストや俳優が署名した公開書簡が掲載。これは1月10日に下院へ提出された、“AI偽造禁止法(No AI FRAUD Act)”を支持するものです。

“AI偽造禁止法”を支持する声
“AI偽造禁止法”は、フェイクの声やアーティストの外観などを同意なくAI生成することを規制する法案。
エンターテインメント業界の連合体でありAI使用に対する基本原則を示す団体「The Human Artistry Campaign」によって掲載された公開書簡には、21サヴェージ、カーディ・B、オフセット、ベット・ミドラー、スティーヴン・タイラー、ミッシー・エリオット、エルヴィス・コステロ、コモン、アリッサ・ミラノ、ボーイズIIメン、パリス・ジャクソンら、ミュージシャンを中心とした第一線で活躍するアーティストの名前がずらりと並びます。
さらに米USA Today紙の広告へはブラッドリー・クーパー、ケヴィン・ベーコン、キーファー・サザーランドら俳優の名前も多数見られました。そして「あなたの声、顔、イメージ、アイデンティティー」「No AI FRAUD Actはあなたの声や外見の基本的人権を守り、合意のないディープフェイクから全ての人を守ります」というメッセージも掲載され、法案が全ての人に必要なものであることを訴えています。
現在アメリカでは「パブリシティー権」によって無許可でアーティストらの声やイメージを商業利用しないよう規制されていますが、これは州法であり連邦法ではないため、連邦レベルでの基準が求められています。

これまでもさまざまな議論を呼んだAI利用
AIの出現から、エンターテインメント業界ではそれがアーティストにとって助けとなるのか脅威となるのかといった議論は常に行われてきました。
有名音楽プロデューサーで人気DJのデヴィッド・ゲッタら、表立ってAIを利用し本人に似せた声などを積極的に作っていく人もいれば、AIの悪用やアーティストが仕事を奪われる未来を案じる人も。2023年にハリウッドで起こった脚本家と俳優による大規模なストライキでは、AIの利用に対する規制は大きなテーマとなっていました。
2023年4月に、カナダのラッパーであるドレイクとシンガー・ソングライターのザ・ウィークエンドによる“コラボ曲”「Heart on my sleeve」がリリースされたことでこの議論はさらに加熱することに。同楽曲にはアーティスト本人は一切かかわっておらず、「ghostwriter」と自称する人物が無許可でAIを使って制作したものでした。
また、2024年1月下旬にはAIで制作されたテイラー・スウィフトの偽ポルノ動画がSNSで拡散。X(Twitter)で瞬く間に広まった後、一時的に検索不可にするなどといった措置が取られたものの、動画はすでに4700万回閲覧される状況に。当然ながら全てのSNSでの拡散を完全に制御することも、保存された画像や動画を回収することも不可能な状態でした。
この出来事はホワイトハウスでも重く受け止められ、カリーヌ・ジャン=ピエール大統領報道官は「もちろん議会は何らかの立法措置を取るべきだ」とコメント。こういった、アーティストの著作権や肖像権、またいち個人としての尊厳を傷つける事件までが起こり、多くの人が憂慮した未来が現実になってしまったことで、早急な対策を求められています。
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