多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。
ペットロスとは
愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2023年、20歳〜69歳のペットを飼っているまたは飼育経験がある391人を対象に実施された「ペットロス」に関する調査では、「約8割が『ペットロス』という言葉を見聞きしており、約4割が実際に経験している」と発表されています(サンセルモsorae調べ)。
飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。

第32回は飼い主・ヒロミさん/猫「ゴロー」くん
そこでねとらぼでは「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。
第32回 飼い主・ヒロミさん/猫「ゴロー」くん
―― ゴローくんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください
ヒロミさん:ある日、息子の友人が段ボールに入った捨て子猫3匹を拾いました。当時高校生の息子が引き取りたいと手を挙げましたが、すでに3匹とも里親さんに引き取られたあと。しかし数日後、3匹のうち1匹が里親さん宅の先住猫ちゃんと折り合いが悪いとのことで、わが家に出戻ることに。その子猫がゴローさんです。
当時一緒に暮らしていた愛犬との散歩のとき、ゴローは自分も行く気満々でドアの前で待機していました。「自分は犬」と思っていたのかもしれません。小さいときはお風呂に落ちたり、2回脱走したりとヤンチャでした。
―― ゴローくんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください
ヒロミさん:18歳で虹の橋を渡りました。主人も私も仕事をしており、2人の子どもは結婚して家を出たため、お留守番が多く、ゴローには「最期は絶対に私がいるときにね」とお願いしていました。念願通り、腕の中で天国へ行きました。「18年の長い間ありがとう……」って思いました。
おじいちゃん猫とおばあちゃんの私の、のんびりした空間。誰かがいてくれるっていう安心感やぬくもりがありました。淋しくてまだ涙が出ますね。友人に「思い切り泣いていいんだよ」「大事に大事にされてきたんだね幸せだったね」の言葉がうれしかったです。
―― 現在の心境を教えてください
ヒロミさん:まだまだ喪失感が大きくて、最期に使っていたベッドを傍らに置いたまま話しかけたりしています。少しずつ18年の思い出のモノを片付けながら。
―― ゴローくんに伝えたいメッセージ
ヒロミさん:ありがとう。また絶対に逢おうね。
(了)
【2024年6月22日8時追記】一部、お名前の表記に誤りがありました。お詫びして訂正します。
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