湿地に生き残った貴重な“生きた泥”の姿が、YouTubeで紹介されています。動画は記事執筆時点で5万2000再生を超えています。裏側がこんな感じだなんて……!

湿地で探すのは?
投稿したのは生物多様性についての情報を発信しているYouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」の小宮春平さんです。この日訪れたのは、浚渫(しゅんせつ)工事をしたときに残してもらったという葦原。季節が進み、たくさんの葦が伸びている中で、以前見せることが出来なかった生き物を見つけたということです。

小宮さんが指さした先には、泥の塊のような生き物が。パッと見ただけで4匹ほど確認できると話します。持ち上げてみても卵型の泥のようですが、裏側を見るとアワビのような見た目をしています。



実はこの塊は「ヤベガワモチ」という貝。絶滅危惧種IA類に指定されている絶滅寸前の種類で、日本国内の生息地は7〜8カ所ではないかといわれています(ヤベガワモチという名前は、矢部川で見つかったことが由来とのこと)。

ヤベガワモチは葦原環境に住んでおり、泥を食べて生きているとのこと。泥にはそれほど栄養が含まれているわけではないのですが、ヤベガワモチは意外と素早く移動します。

素早く動ける理由は、すごい勢いで泥を食べて大量のフンをするから。ヤベガワモチがいる場所にはフンがたくさん落ちていて、いる雰囲気が分かるそうです。

この辺りにはヤベガワモチが生息していることが分かったことから、県の河川事務所が配慮をしてくれているとのこと。1年ほど姿を見ていなかったそうですが、今回確認することができました。
周りにはオカミミガイ(絶滅危惧II類)やアズキカワザンショウなどの希少な生き物もたくさん。葦原の場所を残してくれたことで貴重な生き物が残ることができています。
「河川改修をする側の県も国交省も生き物を絶滅させたいわけではない」と話す小宮さん。生物多様性にとって重要なところと、工事の中でできる配慮を両立できるような形を模索していくことの大切さを伝えています。


コメント欄には「ヤベガワモチ初めて知りました。これは絶対残すべきですね」「意外と動くのが早くて、ビックリしました」「こういう生き物が悠々と暮らせるところがいつまでも残ってくれるといいなぁ」といった声が。「アベカワモチ」を連想したという人もたくさんいました。
小宮さんは以前、YouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗(たけもとあきら)ch」の“池の水全部抜いて、出てきたアメリカザリガニ全部食う”という企画にガイドとして出演(関連記事)。X(Twitter/@ariake538)でも情報を発信しており、別の日のYouTube投稿でも、さまざまな生き物を追う姿を見ることができます。
画像提供:YouTubeチャンネル「コミヤの生物多様性に関する一考察」


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